2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23370033
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
富岡 憲治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (30136163)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 昆虫 / 概日時計 / 時計遺伝子 / 光同調 / 光受容分子 / オプシン / クリプトクロム |
Research Abstract |
フタホシコオロギ、タンボコオロギ、マダラシミを用いて、オプシン類を中心に概日時計の光リセット機構に関連した解析を行い以下の結果を得た。フタホシコオロギでは、(1)別領域で作成した2本鎖RNAを用いて、dsRNA によるオプシン遺伝子mRNAのノックダウンのoff target effectの可能性を検討し、同様の効果を確認した。(2)opsin遺伝子の2重RNAiでは単一のオプシン遺伝子のみが強く発現し、opsin-LWとopsin-UV、opsin-Blueとの組合わせの場合には、同調能を失う個体の割合が高く、同調した個体でも同調に要する移行期が延長した。一方、opsin-LWのみの発現では全個体が光同調し、かつ移行期も対照群と同様であったことから、光同調にはopsin-LWが主要な役割を演ずると結論された。(3)光同調機構の解析のため時計機構に関与するvrille, Pdp1, E75, HR3の各遺伝子cDNAを取得し、機能解析を進めた。E75、HR3のRNAiでは、活動リズムへの顕著な影響は見られなかったが、cycをはじめとする既知の時計遺伝子の発現レベルや発現リズムの位相に変化が生じた。vri RNAi個体では、Clkの発現が暗期に明瞭なピークを示すようになり、cycの発現レベルが増加するとともに、per, timのmRNA発現リズムの振幅が増強した。(4)ハエ型クリプトクロムcry1の全長を取得し、光同調機構への関与を検討した。Cry1は複眼でも発現するが、そのRNAi個体でも対照群と同様の光同調性を示したことから、cry1は光同調には重要ではないことが分かった。(5)タンボコオロギで、Opsin-LW/cry1 RNAi個体の時計遺伝子発現リズムを解析したところ、per, timの発現レベルが低下し、長日では位相前進、短日では位相後退が生ずることが分かった。(6)マダラシミではopsin-LWのRNAi処理個体でも、光同調性は維持されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに計画全体の75%を達成したと考えている。フタホシコオロギでは、オプシン遺伝子の2重RNAiにより、光同調に関与するオプシンとしてopsin-LWが主要な役割を演ずることを確証する結果を得た。一方、cry1が複眼でも発現しているが、光同調にはほとんど関与しないことを示した。今後、光受容分子をopsin-LWに絞って解析することが可能となった。また、本年度の研究で、特に時計遺伝子の解析が大きく進展した。これまでにコオロギでは光パルス照射後にClkの発現レベルが上昇することが分かっている。このClkの転写制御に関わるvrille, Pdp1のcDNAを取得した。また、Clkのパートナーであるcycの周期発現に関与する遺伝子、E75, HR3のcDNAを得、これらが分子振動機構に関与する結果を得た。 現在、光によるリセット時に時計機構にどのようなイベントが起こるのかを分子レベルで解析し始めたところであるが、本年度の研究により得たvrille, Pdp1, HR3, E75をも含めて、光応答機構の詳細な解明を進める準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であり、当初目的としていたすべての課題の達成を目指す。 昨年度からの課題である、光リセット時の時計分子振動の応答を時計遺伝子のレベルで明らかにすることが第1の課題である。手法は確立しているので、当初の目的を達成できると考えている。また、光周性を示すタンボコオロギでもオプシン類およびcry1の光同調における機能解析を行い、コオロギ類における機能を明らかにするとともに、シミおよび他の昆虫類との比較により、光同調系の系統発生を究明する。
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Research Products
(16 results)
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[Presentation] Molecular dissection of the circadian clock in the cricket, Gryllus bimaculatus.2013
Author(s)
Tomioka, K, Uryu, O, Komada,S, Moriyama, Y, and Yoshii, T
Organizer
11th International Congress of Orthopterology
Place of Presentation
Kumming, Yunnan, China
Year and Date
20130811-20130815
Invited
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