2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23370038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Biodiversity/Systematics
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柁原 宏 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (30360895)
小亀 一弘 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (80215219)
加藤 徹 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (80374198)
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Keywords | 津軽海峡 / 海産無脊椎動物 / サンゴモ / 分散障壁 / 系統地理学 / 地質学 / COI / ITS |
Research Abstract |
標的種のうち苔虫動物Cauloramphus magnusを7地点から240標本を採集し、152標本のCOI配列(544bp)を決定、23ハプロタイプを同定した。動吻動物Echinoderes spp.は8地点から得られた270標本のうち151標本のCOI配列を決定、42ハプロタイプを同定した。棘皮動物Patiria pectiniferaは9地点から得られた214標本のうち50標本のCOI配列を決定、環形動物Saccocirrus uchidaiは7地点から得られた282標本のうち149個体よりDNAを抽出、20標本のCOI配列を決定した。これら4種について予備的な集団地理的構造の推定を行った。苔虫動物は特徴的な地理的集団構造を見せたが、津軽海峡が遺伝子流動の障壁にはなっていない。動吻動物は北海道と本州集団とに分かれ、一方が隠蔽種の可能性があり、海峡が南北に分散障壁として機能する。棘皮動物と環形動物のそれぞれ50配列と20配列による解析では集団構造に地理的な関係が見いだされず、海峡は分散障壁として機能していない。石灰藻類Corallina piluliferaは4地点から得られた120標本のうち26標本のCOI配列およびrbcL配列を決定、等脚類Idotea ochotensis及びCleantiella isopusは8地点から214標本を得、COIプライマーを試すためC.isopusの2個体を使用し、その配列を得ている。二枚貝類Protothaca euglypta(5地点153標本)、星口動物Phascolosoma scolops(3地点75標本)、蔓脚類Chthamalus challengeri及びChthamalus dalli(3地点121標本)はいずれもサンプル数と採集地点数のいずれも十分量には達しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にある合計3600配列(30個体×6地点×10種×2マーカー配列)の11%まで達成した。採集ではサンプル数も採集地点も1年目の計画を上回る。30個体以上得られた地点もあり厳密には異なるが、対象10種より1690個体のサンプルを得ており、これは計画の47%に相当する。昨年度は本州の太平洋沿岸からは全くサンプルが得られておらず、本州側の日本海沿岸および海峡内部のサンプルが不足気味である。すでにCauloramphus magnusとEchinoderes spp.については論文として出版するに足るだけのデータが得られており、核ITS配列とさらなる地点でのサンプルが結果を補強することが期待される。傾注した労力は対象種によって異なるが、5ヵ年計画の少なくとも20%は完了したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
計図した10種の標的種のうらの7種は、分布がパッチ状であったり生息密度が低いため十分なサンプル確保が困難であった。昨年度は可能な限り生息環境や分散様式などが、計画した対象生物に類似した、より個体数が多く広域に分布する新たな対象種を選択した。Chthalamus challengeriは同所的に混生するC.dalliがあり2種ともに対象とすることを考えている。 初年度の採集における制限要素は人手であった。8人程度が採集に参加したが、本年度は10人を参加させる予定である。最も結果を出せた2種は、それぞれ4年次と博士課程の学生が自身の研究テーマとして取り組んだ種である。これが研究を進展させる最も生産的な方法であり、本年度では新たな学生に研究テーマを提案する予定である。
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Research Products
(20 results)