2011 Fiscal Year Annual Research Report
従属栄養植物における植物-菌根菌-エンドファイトの三者系のダイナミクスの進化
Project/Area Number |
23370039
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
横山 潤 山形大学, 理学部, 教授 (80272011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 達哉 高知大学, 教育研究部・自然科学系, 准教授 (00432815)
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Keywords | 共生 / 寄生 / 相互作用 / 菌根 / エンドファイト / 菌寄生植物 / ホンゴウソウ科 / ビャクブ科 |
Research Abstract |
菌寄生植物は光合成能を部分的ないし完全に失った従属栄養性の植物群で、菌根菌からの炭素源の供給に依存して生育している。一般的な植物には菌根菌の他にエンドファイト菌が共生して、植物体の防御機構の誘導や根の発達促進など、重要な役割を担っている。菌寄生植物にもエンドファイト菌が存在しているが、これらの菌類が菌根菌とどのように共存しているのか、従属栄養性の進化の過程で、植物-菌根菌-エンドファイト菌の三者系のダイナミクスがどのように変化しているのかなどについては、これまで全く解析がなされてこなかった。本研究では、独立栄養性から従属栄養性へ進化した複数の植物の系統を対象に、植物-菌根菌-エンドファイト菌の三者系を比較し、この三者系が従属栄養性の進化に与える影響を明らかにすることを目的としている。特に植物の栄養摂取様式の進化に伴って、エンドファイト菌が三者系で果たす役割がどのように変化しているのかに注目して研究を行った。本年度は独立栄養植物と従属栄養植物を含む4群(ラン科、リンドウ科、ツツジ科、ビャクブ科-ホンゴウソウ科)の系統群を用いて、まず菌根菌およびエンドファイト菌フロラの解析を行った。菌根菌は従来の報告通りラン科が担子菌、ツツジ科が担子菌と子のう菌であったのに対し、リンドウ科とビャクブ科-ホンゴウソウ科ではグロムス菌類であった。種構成は従属栄養化に伴って、全体的に単純化する傾向があった。エンドファイト相もグループによって大きく異なり、ラン科、ビャクブ科-ホンゴウソウ科では単純な種構成であったのに対し、リンドウ科、ツツジ科では単離される菌群の多様性が高い傾向が見られた。また、エンドファイト菌の出現傾向から、菌の種間に干渉的競合関係があることが推測された。また、各植物群から防御機構に関わる遺伝子の部分配列を得ることができ、この情報を用いて今後発現解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リアルタイムPCR装置の導入が当初の予定より遅れたため、植物体内の菌類の定量的解析に関する部分の進行状況が十分とは言えないが、それ以外の部分はおおむね予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
植物体内の菌類フロラの、定量PCR法による量的解析の継続を優先しておこなう。また、育成数が十分ではない共試植物の育成にもつとめるこそれ以外の部分は、次年度の計画通りに実施する。
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