2012 Fiscal Year Annual Research Report
従属栄養植物における植物―菌根菌―エンドファイトの三者系のダイナミクスの進化
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23370039
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
横山 潤 山形大学, 理学部, 教授 (80272011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 達哉 高知大学, その他の研究科, 准教授 (00432815)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 共生 / 寄生 / 相互作用 / 菌根 / エンドファイト / 菌寄生植物 / ホンゴウソウ科 |
Research Abstract |
菌寄生植物は光合成能を部分的ないし完全に失った従属栄養性の植物群で、菌根菌からの炭素源の供給に依存して生育している。一般的な植物には菌根菌の他にエンドファイト菌が共生して、植物体の防御機構の誘導や根の発達促進など、重要な役割を担っている。菌寄生植物にもエンドファイト菌が存在しているが、これらの菌類が菌根菌とどのように共存しているのか、また従属栄養性の進化の過程で、植物―菌根菌―エンドファイト菌の三者系のダイナミクスがどのように変化しているのかなどについては、これまで全く解析がなされてこなかった。本研究では、独立栄養性から従属栄養性へ進化した複数の植物の系統を対象に、植物―菌根菌―エンドファイト菌の三者系を比較し、この三者系が従属栄養性の進化に与える影響を明らかにすることを目的としている。特に植物の栄養摂取様式の進化に伴って、エンドファイト菌が三者系で果たす役割がどのように変化しているのかに注目して研究を行った。 本年度は、昨年度に引き続き独立栄養植物と従属栄養植物を含む4群(ラン科、リンドウ科、ツツジ科、ビャクブ科―ホンゴウソウ科)の系統群について、エンドファイト菌フロラの解析を継続して行った。種構成や各菌種の存在比については、おおむね昨年度解析した結果を追認することができ、定量PCRによる解析からもその傾向が確認できた。昨年度部分配列を決定できたMYB72およびNPR1遺伝子については、定量PCRによる発現解析を行った。その結果、感染するエンドファイト菌の種類や構成によって、それぞれの遺伝子の発現量に変化が生じることが示された。菌の種構成をより精密にコントロールすることによって、この傾向を確認する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共試植物の育成が遅れたことと、数が十分に確保できなかった植物種があったこと、さらに感染実験の精度にまだ改善の余地があるため、菌の種構成による防御関連遺伝子の発現制御については、さらに解析精度をあげる必要があるが、それ以外の点はおおむね計画通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
植物体内の菌類フロラのより高精度な解析、定量PCR法による発現解析の継続を優先しておこなう。また、育成数が十分ではない共試植物の育成につとめ、感染実験と遺伝子発現解析を進める。それ以外の部分は、次年度の計画通りに実施する。
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