2012 Fiscal Year Annual Research Report
次世代大量ミトゲノム解析による魚類多様性研究の新展開:サンガー法から超並列法へ
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23370041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 睦 東京大学, 大気海洋研究所, 名誉教授 (90136896)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 進化 / 集団・種多様性 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
我々はミトコンドリア全ゲノム(ミトゲノム)分析によって、大規模系統研究を開拓・推進し、魚類の包括的系統枠の概要を明らかにすることに成功した。しかし、魚類多様化の理解を高めるには、分析種数をさらに多くして系統樹の密度を高める必要性が明確になってきた。幸い、高速超並列次世代シーケンス技術により、多数試料についてミトゲノムのシーケンシングが可能となったが、まだ大きな困難がある。とくに、多数種のDNAを扱うため、必然的に質の良くないDNA試料も頻繁に対象にしなくてはならず、次世代シーケンサーを効率的に活用できない状況にある。そこで本研究では、この困難を、ミトゲノム断片を濃縮する技術の適用を突破口にして解決し、魚類の大規模系統研究の飛躍的高密度化への道を切り拓くことを目的とする。 質の良くないDNA試料からミトゲノム断片の濃縮を達成するために、初年度は、化石霊長類由来のDNA試料などからミトコンドリアゲノム断片が濃縮されたという報告のあるCapture-on-beads 法(Maricic et al., 2010)の条件検討を進めた。本年度は、大量のサンプルに対するインデクス化(タグ付加)の効率化を図るために、新たに報告されたDouble indexing法(Kicher et al., 2011)を導入し、実験条件の検討を行い、本格的な大量分析を実施するための実験条件をほぼ明らかにすることができた。また、ロングPCRによりミトコンドリアゲノムを濃縮する方法についても、適用条件の検討を進め、サンプルのタグ付加にParallel tagged sequencing法(Meyer et al., 2008)を導入し、タモロコの48サンプルについて、試験的に次世代シーケンスを行った。その結果、各サンプル平均冗長度約30倍のミトコンドリアゲノムシーケンスに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より計画していた通り、Capture-on-beads 法(Maricic et al., 2010)をアユ・サンプルに適用し、試薬の濃度や反応時間などの基本的実験条件について検討を進めるとともに、Double indexing法(Kicher et al., 2011)を導入し、サンプルのインデクス化(タグ付加)の実験条件がかなり明らかになった。特に、Capture-on-beads 法では、ミトコンドリアゲノムの濃縮に必要な、ベイトの作成条件、ベイトによるミトコンドリアゲノムの濃縮に最適な反応時間などの詳細が明らかとなり、Double indexing法では、タグ付加後のサンプルや、それらをプールしたシーケンスライブラリーの分子数の計測に、新たにリアルタイムPCRを導入し、最適な調整が可能となってきた。また、ロングPCRによりミトコンドリアゲノムの長断片が濃縮可能なサンプルについては、サンプルのタグ付加にParallel tagged sequencing法(Meyer et al., 2008)を導入することにより、魚類試料への適用のための実験条件が明確になった。この方法においては、蛍光試薬によるタグ付加サンプルの分子数計測を導入し、リアルタイムPCRによるシーケンスライブラリーの分子数計測と合わせて、最適なシーケンスライブラリーの調整が可能となった。以上の様に、「おおむね順調に進展している」と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、具体的な課題として挙げているミトコンドリアゲノミクスによる「アユの高精度集団構造」の解析と「テンジクダイ科の高密度系統樹」の構築の完成を図る.昨年度までに、ロングPCRによる濃縮が可能なサンプルについては、Parallel tagged sequencing法が有効に機能することが明確になり、実験条件を確立できた。また、質の良くないDNA試料に対して有効な、Capture-on-beads 法とDouble indexing法の実験条件もほぼ明らかになった。以上のように、実験条件が明確になった3つの方法を駆使して、本格的な大量分析を実施する.サンプルの質に合わせて分析方法を選択し、課題の完成を達成するとともに、「アゴハゼの高精度集団構造」、「琵琶湖固有種の高精度集団構造」や「海産カジカ類の高密度系統樹」などのその他の魚種についても、積極的に大量分析に挑戦して、最終的には、次世代シーケンサーを効率的に活用した魚類の大規模系統研究の飛躍的高密度化への道を切り拓く。
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[Journal Article] Phylogeny and biogeography of highly diverged freshwater fish species (Leuciscinae, Cyprinidae, Teleostei) inferred from mitochondrial genome analysis.2013
Author(s)
Imoto, J. M., K. Saitoh, T. Sasaki, T. Yonezawa, J. Adachi, Y. P. Kartavtsev, M. Miya, M. Nishida, N. Hanzawa
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Journal Title
Gene
Volume: 514
Pages: 112-124
DOI
Peer Reviewed
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