2013 Fiscal Year Annual Research Report
間隙性ファウナの種多様性評価と生息の制限要因-陰性環境の生物多様性に光を当てる-
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23370042
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塚越 哲 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90212050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗林 留美 (福田 留美) 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00343195)
中尾 有利子 日本大学, 文理学部, 助教 (00373001)
GRYGIER Mark 滋賀県立琵琶湖博物館, その他部局等, 上席総括学芸員 (60359263)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 間隙性動物 / 貝形虫類 / 生物多様性 / 分類 / 潮下帯 |
Research Abstract |
(1) 分類学的多様性の把握:若狭湾沿岸,瀬戸内海沿岸,伊勢湾西岸,ベトナム北部沿岸の海生種・汽水性種について,10数種の未記載種を確認した.順次記載し,投稿および準備中である. (2)日本海沿岸の間隙性貝形虫類の生態に関する考察:日本海沿岸の間隙性貝形虫類は,太平洋沿岸とは異なる独自の特性を持っている.まず,分類学的には日本海側で固有と考えられる種が認められ,全体的に種多様性は低い.また,日本海側では潮間帯が狭く,潮間帯から潮下帯にかけて個体数密度のピークを季節的に移動させる種が多く存在することを示唆した. (3)生態と進化傾向の理解:生態的に未知な部分の多い汽水性種Palusleptocythere migransについて,干潟内での主な生息地を明らかにした.また個体群動態も明らかにされ,干潟の奥部で堆積物や水温,塩濃度の変化が穏やかな冬季を主な繁殖シーズンとしていること,また蝶番構造を省略し,体サイズが丸みを帯びたプロジェネティックな進化をしていることを示した.このような進化パタンは,間隙性種でもしばしばみられるため,その要因について考察を深めた. (4)間隙性種の生息の制限要因:海生間隙性種の生息を制限する要因として,温度,塩濃度,波エネルギー,溶存酸素量,堆積物粒度組成,有機物量等を想定して分析を行った.この中で特に堆積物の粒度組成と波エネルギーによる堆積物の安定度が,生息要因に大きくかかわっていることが示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本海の間隙性貝形虫類の多様性と生態的特性について,一定の理解を得ることができた.また,潮下帯は間隙性/表在性のあいまいゾーンが形成されており,「間隙性化」について,大きなヒントがあることが明らかになった. 対外的には韓国で行われた国際メイオファウナコンファレンスに招待を受け,ワークショップで2講演(各60分),シンポジウムで1講演(20分)を行い,また国内学会でも3件の講演を行って,間隙性貝形虫類にの関する最新の研究成果を公表する機会を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は本研究課題の最終年度であるとともに,本研究課題とリンクさせた海外学術研究(基盤B)が新たに採択されたので,調査地域を西太平洋島嶼に拡大するとともに,主要分類群の研究者と連携して,本研究課題を基礎とした次の研究課題へと発展させてゆく. 特に今年度は,潮下帯の間隙性動物相を明らかにするとともに,間隙性動物が海岸環境を表す指標動物となりうるのかについて焦点を当て,海岸環境の変化との応答関係について考察を深める.
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Research Products
(17 results)
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[Presentation] Ostracoda Part 2: Evolution
Author(s)
Tsukagoshi, A.
Organizer
Fifteenth International Meiofauna Conference in Korea, Workshop
Place of Presentation
Chonnnam National University, Yeosu, Korea
Invited
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