2011 Fiscal Year Annual Research Report
シクリッドの飼育個体群と野生個体群を用いたオス色彩二型維持機構の解明
Project/Area Number |
23370043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 鉄美 京都大学, 理学研究科, 研究員(グローバルCOE) (70432359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽田 貞滋 京都大学, 理学研究科, 教授 (00192625)
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Keywords | 生物多様性 / 進化 / 集団内多型 / エコゲノミクス / 海外研究 / タンガニイカ湖 / シクリッド / 生態 |
Research Abstract |
アフリカのタンガニイカ湖に生息するシクリッド科魚類キプリクロミス属の3種では、集団内にオスの色彩二型が混在する。本研究は、この色彩二型の維持機構を解明することを目的とする。オスもしくはメスの集団内色彩多型は、キプリクロミス以外の魚類や昆虫類、鳥類でも知られている。しかし、その維持機構はほとんど知られていない。本研究は、多くの生物が示す集団内色彩多型の維持機構の解明に示唆を与えることが期待でき、一般性も高いと考える。この目標を達成するには、まずオス色彩二型の遺伝的基盤を解明することが重要である。今年度は、次世代シーケンサーを用いたRADシーケンシングという、最近開発された技術を使うことにより、色彩と密接に連鎖する遺伝子マーカーの発見に成功した。これまでのマイクロサテライトなどによる調査と比べると、この方法は時間的、経済的にとても優れており、また一度に調べることのできる遺伝子マーカーの数も数十~数百倍もあり、目的を達成する確実性も高い。しかし、新しい技術であるため情報に乏しく、最初は実験が成功するかどうかの不安があった。しかし結果的には、一度のシーケンスランで成功した。これにより、野生個体群でも色彩と完全に一致するSNPマーカーを2つ発見することができた。そのアリルの分布により、オス色彩二型が1遺伝子座2アリルのメンデル遺伝に従うことがほぼ確実となった。このことは、色彩二型の維持機構の解明に向けた大きな一歩である。現在、この成果の論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、本年度は色彩家系の維持を行った。これにより、分子実験に供するのに十分な個体を得ることができた。また予備実験としてそのうちの数個体を用いて実験したところ、目的の遺伝領域を発見することができた。これにより来年度以降は、下に記すように、さらに詳細な研究を行うことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、色彩二型の遺伝領域に関する論文を執筆する。つぎに、原因遺伝子の特定を試みる。また、色彩二型が遺伝的であることが判明したので、配偶者選択実験や屋外に置ける観察を行い、色彩二型の維持機構解明に向けたアプローチを行う。
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Research Products
(9 results)