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2012 Fiscal Year Annual Research Report

外向き型及び内向き型バンド3/抗体複合体の三次元結晶構造解析

Research Project

Project/Area Number 23370049
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

小林 拓也  京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20311730)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 濱崎 直孝  長崎国際大学, 薬学部, 教授 (00091265)
Project Period (FY) 2011-04-01 – 2014-03-31
Keywords赤血球 / アニオントランスポーター / バンド3 / X線結晶構造解析 / 抗体
Research Abstract

バンド3は赤血球膜タンパク質の25%を占める主要膜タンパク質であり、世界中でこれまで30年以上、多くの研究者によって研究がなされている。赤血球膜タンパク質バンド3は、陰イオン交換トランスポーター(Anion Exchanger)ファミリーの一員であり、塩化物イオン(Cl-)と重炭酸イオン(HCO3-)など一価の陰イオンを交換輸送することが知られている(図1)。バンド3 は分子量約100 KDaで、大きく二つのドメインから構成されている。バンド3は細胞質に突出したN末ドメイン(40kDa)を介して、アンキリンやスペクトリンなどの細胞骨格タンパク質ネットワークを細胞膜に繋ぎ止め、赤血球の形態を維持している。また、膜貫通部分であるC末ドメイン(55kDa)はCl-とHCO3-の交換反応を司り、炭酸脱水素酵素と協調して組織や細胞の必要酸素量を検出するメタボリックセンサーとして機能し、赤血球の酸素と二酸化炭素運搬に必須の役割を果たしている。従って、C末ドメインの構造異常は陰イオン透過活性だけでなく細胞膜裏打ちタンパク質ネットワーク全体の破綻にも結びついていると考えられる。実際、バンド3異常で溶血性貧血がおこる原因のかなりの部分が細胞膜貫通ドメインの不安定化と推測されている。我々はバンド3の膜貫通ドメインの立体構造を解明し、バンド3タンパクの陰イオン透過機構の解明を目的としている。これまでに分解能3.4オングストロームの電子密度図に対しモデル構築と精密化を進めてきた(論文投稿準備中)。外向き型バンド3の結晶構造をさらに高分解能で解明し、さらに内向き型バンド3の結晶構造も明らかにしたいと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

モデル構築と精密化には苦労したが、無事位相も決定することができた。ヒト由来アニオントランスポーターとしては世界初の膜蛋白質になるので、早く論文をまとめたいと考えている。ただ、一部構造の見えていないところがあり、何を論点とするのか、ストーリーをどうするのかなど、論文作成に時間がかかっている。現在、内向き型に固定化する化合物を処理して結晶化を試みているが、外向き型バンド3の結晶構造解析に使用した抗体は内向き型バンド3を認識しないことが明らかとなり、新たに内向き型バンド3に結合する抗体を作製する必要があることが判明した。本抗体作製については、まだ軌道に乗ることができていない状況である。一方、今回の論文作成に苦労している点でもある高分解能結晶取得方法を検討している。具体的には、外向き型バンド3/抗体複合体の脂質キュービックフェーズ法による結晶化を試みている。現在のところ高分解能結晶は得られていない。また、抗体を結合せずにバンド3単独で結晶化したいと考え、カウンターディフュージョン法を使って無重力空間で結晶化を試みている。現在、バンド3単独の結晶は得られるようになったが、分解能を向上させることが目下の目標となっている。今後、できるだけ早く高分解能の結晶を出せるか否かが重要なポイントになると考えている。

Strategy for Future Research Activity

まずは、外向き型バンド3/抗体複合体の結晶構造を分解能3.4オングストロームで明らかにした論文をまとめたい。内向き型バンド3の構造解析についても、内向き型バンド3を特異的に認識する抗体を作製することで結晶構造を明らかにしたい。また、高分解能結晶を得る方法やバンド3単独で結晶化する方法もアニオントランスポート機構を原子分解能レベルで明らかにすることは、重要な課題と考えており、脂質キュービックフェーズ法や宇宙空間でのカウンターディフュージョン法の立ち上げにも挑戦していきたい。本年度が最終年度となるので、当初の研究目的が達成できるように努力したい。

  • Research Products

    (5 results)

All 2012 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Invited: 3 results)

  • [Journal Article] Platform for the rapid construction and evaluation of GPCRs for crystallography in Saccharomyces cerevisiae.2012

    • Author(s)
      Shiroishi M. et al.
    • Journal Title

      Microb. Cell Fact.

      Volume: 11 Pages: 78

    • DOI

      doi:10.1186/1475-2859-11-78

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] GPCRのシグナル伝達分子機構の解明から創薬に向けて

    • Author(s)
      小林拓也
    • Organizer
      第86回日本生化学会大会
    • Place of Presentation
      横浜市
    • Invited
  • [Presentation] GPCRをターゲットにした『構造に指南された創薬』を目指すための三つの戦略

    • Author(s)
      小林拓也
    • Organizer
      構造活性フォーラム2012
    • Place of Presentation
      京都市
    • Invited
  • [Presentation] GPCRをターゲットにしたX線結晶構造解析の現状と今後の展望

    • Author(s)
      小林拓也
    • Organizer
      日本神経化学会公開シンポジウム
    • Place of Presentation
      神戸市
    • Invited
  • [Presentation] GPCRの構造解析と抗体の利用

    • Author(s)
      小林拓也
    • Organizer
      千里ライフサイエンスセミナー
    • Place of Presentation
      大阪市

URL: 

Published: 2014-07-24  

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