2011 Fiscal Year Annual Research Report
スナップショット構造を基にしたメチオニンガンマリアーゼの酵素反応機構の解明
Project/Area Number |
23370050
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Field |
Structural biochemistry
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 繁春 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (80156504)
|
Keywords | 酸素 / 生体分子 / 蛋白質 |
Research Abstract |
タンパク質X線解析ではほとんどの場合、安定で静的な構造の決定が行われている。一方、実際に機能している酵素では、基質が結合した後に時々刻々と構造変化しながら一連の中間体を経て酵素反応が進行する。従って、酵素の機能を真に理解するには、動的に変化する中間体構造を捉える必要がある。幸いなことに、結晶中でも酵素反応が起こるので、結晶中で反応を開始させ、次に反応を止めてX線解析すれば様々な反応中間体構造を捉えることができる。本研究ではメチオニンγリアーゼについて、2つのアイソザイム、1と2(MGL1、2)の反応中間体構造を決定して、酵素反応機構とアイソザイム間での基質に対する特異性の違いを解明することを目的とする。 MGL1の結晶にメチオニンをソーキングして結晶中で酵素反応を開始させてから、液体窒素温度で結晶を凍結して酵素反応を停止させた。ソーキング時間を変える(数秒~数十秒)ことで、平成23年度までに様々な酵素反応中間体構造をトラップし、それらの構造を明らかにすることができた。さらに、MGL2結晶についても同様の方法で反応中間体構造のトラップを試みた。しかし、MGL2結晶をメチオニンにソーキングすると、結晶がひび割れる等の問題が発生したので、ソーキング液の組成を検討することから開始した。その結果、結晶が安定に保たれ、かつメチオニンが結合した複合体結晶を調製するための方法を確立し、MGL2とメチオニン複合体構造を決定することができた。また、MGL2については、メチオニンに引き続き他の基質(システイン、ホモシステイン)についても酵素反応中間体構造を明らかにするため、ソーキング条件の検討とX線回折実験を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MGL1については、酵素反応中間体構造を結晶中にトラップしその構造決定ができている。しかし、MGL2は基質であるメチオニンのソーキングによって結晶が壊れるという問題が発生した。そのため、ソーキング条件を確立し問題解決するために少し時間を要したので、当初の予定よりやや遅れている。しかし、MGL2についても当メチオニンとの複合体結晶が得られるようになったので、今後、スピードアップできる。
|
Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」に記した通り、問題点が発生したものの、それを解決して申請書通りの研究計画・方法で推進することが可能となった。平成24年度は、まず、MGL2とメチオニンとの酵素反応中間体構造の決定にまず重点をおいて研究を進める。
|
Research Products
(15 results)