2012 Fiscal Year Annual Research Report
ビリン色素を合成する酵素および利用して光適応を制御する蛋白質の分子機構の解明
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23370052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80032283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 昌喜 茨城大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10359549)
和田 啓 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 助教 (80379304)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ビリン還元酵素 / X線結晶構造解析 / 中性子構造解析 / 反応機構 / 立体構造 |
Research Abstract |
ビリン色素を合成する主要な酵素(PcyA)、およびビリン色素を利用して光適応を制御するシアノバクテリオクロムについて、構造生物学的なアプローチによりこれらの分子機構解明を目指した研究を進めた。 ・PcyAによる還元の分子機構の解明 本テーマでは還元反応の要となる水素原子の直接観察を目的としている。そのために中性子回折法の適用に向けた準備を進めた。本実験遂行に必要となる巨大結晶の析出条件を精査し、約2 mm角の結晶を得ることに成功した。J-PARKにおける予備的な中性子解析実験の結果、約2A分解能の反射を観測することができた。さらに、中性子回折のフルデータ収集に向けた測定条件を決定した。 ・シアノバクテリオクロムの構造解析 本テーマでは、ビリン色素を発色団としてもつ光センサー蛋白質シアノバクテリオクロムに着目し、複数のドメインから構成されるRcaEがどのようにして光受容シグナルを化学シグナルとしてアウトプットするのか、そのメカニズムに迫ることを目的としている。昨年度までにシアノバクテリアの微結晶が析出する条件を見出している。今年度は、精製条件・結晶化条件を精査し、結晶の質の改善を図った。SPring-8による回折X線測定の結果、低分解能ではあるが回折スポットを観測することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、大きく分けて二つの酵素蛋白質を研究ターゲットして掲げている。まず、PcyAでは、水素原子の可視化に向けて、中性子回折測定を進める準備が整ったと言える。平成25年度の早い段階で、フルデータが収集できることが確実な状況である。もう一つのターゲットであるシアノバクテリオクロムに関しては、全長蛋白質の結晶化に成功している。これまでシアノバクテリオクロムでは、その部分構造(ドメイン構造)のみが報告されており、全長での解析は困難が予想されていたが、本年度の進捗を踏まえると構造決定に向けて大きく前進したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現段階では、計画書通りに研究を進める予定である。 ・PcyAによる還元の分子機構の解明 中性子回折フルデータの収集を進め、水素原子の位置情報を含めた立体構造解析を進める。 ・シアノバクテリオクロムの構造解析 引き続き精製・結晶化・測定条件を精査し、構造解析可能な回折X線データの収集を進める。
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