2011 Fiscal Year Annual Research Report
P型イオンポンプ作動機序特性の分子基盤とその異常による病態
Project/Area Number |
23370058
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Functional biochemistry
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 裕 旭川医科大学, 医学部, 教授 (50183421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 和生 旭川医科大学, 医学部, 講師 (60241428)
大保 貴嗣 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (90207267)
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Keywords | Ca-pump / Ca-ATPase / Sarco(endo)plasmic reticulum / Phosphorylation / Structural analog / Metal fluoride / Phosphorylated intermediate |
Research Abstract |
1.Aドメイン/M2リンカー:アミノ酸挿入や残基削除により長さとαヘリックス部分構造を改変した変異体、および残基置換変異体についてラピッドクエンチィング装置により、速度論的機能解析と各リン酸化中間体構造解析を実施した。その結果、長さおよび二次構造(αヘリックス領域)の変化が、リン酸化中間体の異性化、リン酸化中間体加水分解、輸送部位におけるCa^〈2+〉閉塞と放出、さらに細胞質側および内腔側の各ゲートの開閉に必須な役割を果たすことが明らかとなった。これたより、触媒部位と輸送部位の間の構造変化を介した相互応答の仕組み、すなわちエネルギー共役機構の理解を格段に深めることが出来た。結果はまた、今後さらに二次構造変化領域を絞り込み、それらの各ステップにおける機能および構造的意義を解明することが必須であることを示した。 2.N-Pドメイン連結ヘリックス上のArg556/Asp557(N)とArg638/Glu644(P)の各残基に部位特異的置換を導入した変異体について、0.1~1Mの塩濃度におけるリン酸化中間体異性化を速度論的に解析した。その結果、K^+を特異的に結合したCa^〈2+〉-ATPaseでは、イオン強度増加により異性化速度が減少すること、減少の程度は上記の変異導入で減弱することを観察した。結果は、N-Pドメイン間の静電的相互作用は迅速なリン酸化中間体異性化とCa^〈2+〉輸送に重要であり、上記の荷電残基はこの静電的相互作用に必須であることを示した。また、Pドメインへの特異的K^+結合により、この静電的相互作用が可能となることも明らかとなった。そして、今後、さらに静電的相互作用に直接関与する残基を同定し、それらの構造的意義を明らかにすることがCa^〈2+〉輸送におけるエネルギー共役機構の理解に必須であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した、Ca2+輸送メカニズム解明のために計画した研究が極めて高いレベルで進行している,実際その内容は、2011 ASBMB Special Symposia Seriesにおける三題の講演として発表され、極めて高い評価を得た。現在、さらに研究を展開するとともに、論文として発表すべく、投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の研究をさらに発展させる研究を展開する(上記"9.研究実績の概要"参照)。 また、Ca^〈2+〉ポンプ以外のカチオンについても、筋小胞体Caポンプで蓄積した我々の知見を活用し、BeF_〈3^-〉(共有結合リン酸)、AlF_〈4^-〉(遷移状態)、MgF_〈4^〈2-〉〉(非共有結合Pi)をアナログとして用い各ポンプの各リン酸化中間体構造アナログを開発する。
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Research Products
(5 results)