2013 Fiscal Year Annual Research Report
自己抗原タンパク質を介して組織リモデリングに働く獲得免疫システム
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23370059
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
井筒 ゆみ 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20301921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩渕 和也 北里大学, 医学部, 教授 (20184898)
岡 敦子 日本医科大学, 医学部, 教授 (50175254)
伊藤 道彦 北里大学, 理学部, 准教授 (90240994)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アフリカツメガエル / 両生類の変態 / 幼生抗原 / 免疫 / 細胞死 / 皮膚 / T細胞 / タンパク質 |
Research Abstract |
平成25年度は、これまでに主題としてきた研究テーマ「無尾両生類の抗原タンパク質オウロボロスをターゲットとして働く、免疫細胞による幼生尾の組織の細胞死」を、動物の形態形成における必須のプロセスとして位置づけることを目的として、以下の研究を行った。それは、免疫系の生体内でのノックダウンによって、オウロボロスタンパク質の発現だけでは、正常の変態期に起こる幼生の尾の退縮が起こらないということを示すことを目的として行われた。すなわち、免疫機能を欠くと器官形成が正常に行われないという確固たる証拠を提出することが重要である。抗原側であるオウロボロスタンパク質の機能解析は、トランスジェニック動物を使った過剰発現とノックダウンの2つの方法によって既に示されている。この機能解析の結論として、幼生の尾の細胞死に、抗原タンパク質オウロボスの発現が必要であることが示される一方、内在性の免疫細胞が働かないと、尾の細胞死は起こらないということは示されていない。平成25年度は、従来、特異的なT細胞を除去できないと報告されていた幼生から、免疫細胞の除去の条件を見いだすことができた。現在も試験が進行中である。この実験には、既に研究室内で維持しているトランスジェニックツメガエルを掛け合わせて、次世代を作成するが、アフリカツメガエルは偽4倍体であるので、トランスジーンが遺伝している個体をあらかじめ選びだして使用する必要が生じる。その上で、機能T細胞が分化してくる発生段階NF-stage58になるまで育て(1ヶ月以上要する)、除去実験を行う必要がある。そのため、1回の試行実験には、最低でも2ヶ月程度を要する。再現性を詳細に検討するためには、あと1年の研究期間は必要である。平成25年度は条件出し、という点で一定の成果があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画にかかげたJ系統とトランスジェニック系統のハイブリッドの作成はいくつかの系統を樹立するに至っており、F1以降の動物をつかって、免疫細胞を除去する方法の確立はほぼできたので、おおむね順調であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者の発見した免疫系のターゲットとなり細胞死を誘導するタンパク質オウロボロスは、硬骨魚類や有尾両生類といった他の動物種においても、Ouro1とOuro2がペアで存在する。進化的にも保存されている遺伝子であると考えられる。ツメガエルの解析を元に、他の動物種とも比べることによって、2つのOuroタンパク質とそれをターゲットとする免疫細胞との関わりについて、進化的役割も考察する予定である。
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Research Products
(5 results)