2012 Fiscal Year Annual Research Report
酸性オルガネラにおけるpHホメオスターシスの制御機構の解明
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23370060
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 裕輔 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (00294124)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | pH / ゴルジ / コレステロール / 糖鎖修飾 / ホメオスタシス / 層板顆粒 |
Research Abstract |
平成24年度研究計画に沿って今年度の研究実施状況・成果を報告する。 (1)セルソーターによるリソソームpH測定法を用いそのpH異常変異細胞株を樹立・解析する・・・・pHに対して異なった感受性を示す2種類の蛍光物質(カスケードブルーとオレゴングリーン488)で標識されたデキストランを作成しリソソームのpHを測定した結果、pH4からpH7までのpHを測定できることを確認した。しかし、付着細胞を付着したまま測定した時と細胞をディッシュから剥がした時でpHに違いが見られるという問題点が新たに判明した。現在、この問題点の解明と対策を検討中である。 (2)GPHR欠損細胞の表現型であるタンパク質輸送遅滞・コレステロール生合成減少の分子メカニズムを解明する・・・・a)コレステロール生合成減少について詳細な解析の結果、ゴルジ体のPI4P量の減少によるコレステロールの小胞非依存的輸送の障害がその主たる原因であるという結果を得た。現在、この仮説を更に検証中である。b)タンパク質輸送遅滞について詳細な解析の結果、あるタンパク質Aの強制発現によって輸送遅滞が回復することが判った。更に、別のタンパク質Bの強制発現を同時に行なうとタンパク質Aの効果をキャンセルできることも判った。これらのタンパク質A・BがpHホメオスターシスの下流因子である可能性について現在精査中である。 (3)GPHRのノックアウトマウスを作出・解析し、生体におけるpHホメオスターシスの役割を明らかにする・・・・K5-Creとの交配によるGPHRコンディショナルノックアウトマウスの異常表現型の詳細な解析を高知大学医学部皮膚科との共同研究で行なった。その成果を今年度論文報告した(J. Invest. Dermatol. 132(8): 2019-25, 2012)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リソソームのpH異常変異細胞株の樹立に関しては問題点が発生したが、それ以外の部分で十分に成果があった。まず、コレステロール生合成減少のメカニズムの理解がかなり前進した。更に、タンパク質輸送遅滞に関与すると思われる2番目の新規因子を同定できた。また、生体モデルであるマウスについても論文報告という形で成果を出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は最終年度のため、まずこれまでの成果をまとめ論文発表することを最優先とする。 そのためH25年度前半(9月末)までに次の2点について各々論文にまとめる。 1. コレステロール生合成の減少の表現型の分子メカニズム 2. 糖鎖異常の分子メカニズム H25年度後半はH24年度の計画に引き続きリソソームのpH異常変異細胞株の樹立およびタンパク質輸送遅滞に関与すると考えられる2つの新規因子の機能解析を行なう。
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Research Products
(4 results)