2012 Fiscal Year Annual Research Report
変異体情報に基づく回転モーター固定子タンパク質の立体構造モデリングと機能解析
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23370066
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北尾 彰朗 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 准教授 (30252422)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生体膜 / 受容体 / チャネル / 立体構造モデリング |
Research Abstract |
本研究では、プロトン勾配で駆動される細菌べん毛モーターの固定子であるMotA/Bとこれにホモロジーを持ちナトリウムイオンで駆動されるモーター固定子PomA/Bの立体構造を変異体情報に基づいて構築し、大規模分子シミュレーションによって機能のメカニズムを解明する。具体的には、(1)プロトン駆動型べん毛回転モーターMotA/Bの立体構造モデリング、(2)MotA/Bの機能シミュレーションとメカニズム解明、(3)ナトリウムイオン駆動型べん毛回転モーターPomA/Bの立体構造モデリングと機能解明を目標とする研究を行うことでイオン透過のメカニズムを明らかにし、べん毛モーター全体の機能解明の端緒とすることで、膜タンパク質が持つ未知の原理を探求している。 MotA/B複合体は1本の膜貫通へリックスとペプチドグリカン結合ドメイン(PBD)からなるMotBの2量体を中心に、4本の膜貫通へリックス(TM1-4)をもつMotAの4量体が取り囲んでいると考えられている。その膜貫通部位のモデリングの第1段階である(1)プロトン駆動型べん毛回転モーターMotA/Bの立体構造モデリングは、23年度で完成し、その後(2)MotA/Bの機能シミュレーションとメカニズム解明に取り組んできた。その結果、MotA/Bがプロトンを透過する過程のシミュレーションを本格的に行い、そのメカニズムの解析を開始することができた。さらに、水・ヒドロニウムイオン・ナトリウムイオンの透過シミュレーションの自由エネルギー計算をSteered MDおよびUmbrella Sampling を用いて、開始した。これまでの結果からはUmbrella Samplingを持ちいた方が計算精度が高いと考えられるが、自由エネルギー計算の計算精度がまだ不十分であった。そこでこの改善策を検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画通り、MotA/Bがプロトンを透過する過程のシミュレーションを本格的を行うことができた。さらに、水・ヒドロニウムイオン・ナトリウムイオンの透過シミュレーションの自由エネルギー計算を開始することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、MotA/Bの機能シミュレーションとメカニズム解明のために、これまでに引き続きMotA/Bがプロトンを透過する過程のシミュレーションをおこなう。すでに開始している水・ヒドロニウムイオン・ナトリウムイオンの透過シミュレーションの自由エネルギー計算では計算精度がまだ不十分であった。そこで、アンブレラポテンシャルの数を増やす等、いくつかの改善策を用いて計算精度を上げるための試みを行う。これによって、MotA/Bの透過選択性のメカニズムを検討し、プロトンが透過する際の経路やメカニズムについての解明を目指していく。またこれまでに引き続き、いくつかのキーとなるアミノ酸残基の変異体についても計算をおこない、実験データとの整合性を検証する。
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