2012 Fiscal Year Annual Research Report
カイネティックNMRによるプリオン立体構造進化過程の解明
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23370068
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
桑田 一夫 岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 教授 (00170142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌足 雄司 岐阜大学, 生命科学総合研究支援センター, 助教 (70342772)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | NMR / キネティクス / プリオン / 立体構造進化 / 活性化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、核磁気共鳴(NMR)法とフロー装置を組み合わせ、蛋白質の立体構造進化過程(アミロイド線維形成過程を含む)をリアルタイム且つ原子レベルで明らかにすることにある。我々は、この進化過程を促進する方法を複数探索した。本年はそのひとつとして、超音波照射に関して開発を推進した。まず超音波パワーの定量的測定法を、カロリメトリー及びKI酸化法を用いて確立した。その結果として、アミロイド形成の核形成時間が、超音波強度に比例して短縮することを見出した。また、超音波の周波数を変えて、アミロイド形成過程を観測した。28 kHzから100 kHzに周波数を上げると、凝集体形成確率は減少したが、出来た凝集体のサイズは寧ろ増大した。このことは、進化に最適な周波数帯の存在を示唆する。これらのデータは、今後、キネティックNMRに用いる反応条件を決定する上で、重要なてがかりとなる。超音波による進化機構は、未だ完全には理解されてはいないが、基本的には、Cavitationに伴う①高圧、②高温、③OHラジカルの発生によると考えられる。そこで、キネティックNMRの一環としてまずNMR試料管内の圧力を変化させる装置を設置した(高圧NMR)。マウスリコンビナントプリオンタンパク質をpH2~3の条件で、圧力(1~2000気圧)、温度(5~45℃)を変化させると、天然構造から変性状態までの構造変化を連続的に観測できることがわかった。従って、この溶媒条件は、いずれの状態が最も進化に都合が良いかを突き止めるための基本状態となる。さらにクライオフィットを導入し、800 MHz NMRを用いて連続的に蛋白質進化過程を観測するためのキネティックNMRを作成した。現在、同装置を用い、卵白リゾチームをモデル蛋白質として観測を開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波を用いたタンパク質進化の基本条件を確立し、それを800 MHz NMRで観測するための装置を開発した。従って、研究は計画どおり達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波活性化装置を用い、P3室において、プリオンの進化条件を確立する。次に、それをキネティックNMRに適用する。次に、プリオンの立体構造進過程を、超音波活性化装置(PMCA)を接続した800 MHz NMRを用いて観測する。これにより、プリオンの進化過程を原子分解能で明らかにする。
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