2011 Fiscal Year Annual Research Report
動的構造に基づく定量的な蛋白質間相互作用システムの計算・情報科学研究
Project/Area Number |
23370071
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 春木 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (80134485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金城 玲 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (30370117)
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Keywords | 蛋白質 / 構造・機能予測 / プロテオーム / 蛋白質間相互作用 / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
我々が開発した蛋白質の分子表面同士のドッキング計算では、複合体モデル構築後の分子動力学計算による構造緩和により、天然の複合体構造の選別と界面近傍の水分子の位置の再現が確認できた。また、V-McMD法(Virtual-system coupled McMD法)と称するアルゴリズムとして理論的に確立し、18残基からなるエンドセリン人工変異体ペプチドが作るホモダイマー形成を、自由エネルギー地形の計算から得ることができた。さらに、系の電荷および電気双極子モーメントがゼロとなる中和条件を課す手法(Zero-dipole summation法)に基づく新たな分子動力学計算を実施し、均一な純水の系だけでなく、不均一な膜蛋白質やDNA二重鎖に対しても、精度良い計算ができることを確認した。 一方、一つの相互作用面を介して複数の異なる蛋白質と非同期的に相互作用するデートハブ蛋白質においては、複数の蛋白質との相互作用する面と特定の蛋白質のみと相互作用する面に分割できること、また弾性ネットワークモデルを用いた基準振動解析により、基準振動の最低モードの回転軸が結合するリガンドの形と相関があり、リガンド分子の慣性モーメントの主軸とほぼ平行となっていることを見出した。 さらに、蛋白質の低分子、蛋白質、および核酸との相互作用面を網羅的に比較・分類しそれぞれ数千個の頻出パターン(構造モチーフ)を同定し、それらの構造モチーフが特定のサブユニットに出現する組み合わせを複合モチーフと定義することにより、構造のパターンと蛋白質の生物学的機能の対応を調べた。その結果、複合モチーフは配列類似性や「生の」構造類似性よりもよく機能と対応していることが示された。さらに、同じ蛋白質が実験の条件によって異なる複合モチーフを持ちうることを利用して、原子レベルの構造情報から細胞内機能を視覚的に注釈付けできる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にほぼ沿って研究が進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
計算科学的アプローチ法として、平成23, 24年度に開発・確立したサンプリング効率が高くなるように改良をしたV-McMD法を、Zero-dipole summationによる高速分子動力学計算プログラムと組み合わせて利用し、抗体と蛋白質抗原の系および、結合によってアミノ酸側鎖や主鎖構造が変化する系に対する、複合体形成に関わる自由エネルギー地形の計算を実施し、定量的な蛋白質間相互作用解析を実現する。 一方、情報科学的アプローチとして、平成23, 24年度に行われた、蛋白質の相互作用ネットワークで重要なハブ蛋白質であるユビキチンのダイナミクスの解析手法を用い、一般的な蛋白質間相互作用の解析を行う。 これら計算科学および情報科学的解析をまとめ、定量的なインタラクトーム解析法を確立し、具体的な蛋白質ネットワークの系を対象とした解析例を提示する。
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Research Products
(37 results)
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[Journal Article] Conformational Ensembles of An Intrinsically Disordered Protein pKID with and without a KIX Domain in Explicit Solvent Investigated by All-Atom Multicanonical Molecular Dynamics.2012
Author(s)
Umezawa, K., Ikebe, J., Takano,M.,, Nakamura, H., Higo, J.
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Journal Title
Biomolecules
Volume: 104-121
Pages: 104-121
DOI
Peer Reviewed
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