2012 Fiscal Year Annual Research Report
動的構造に基づく定量的な蛋白質間相互作用システムの計算・情報科学研究
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23370071
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 春木 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (80134485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金城 玲 大阪大学, たんぱく質研究所, 准教授 (30370117)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 構造・機能予測 / プロテオーム / 蛋白質間相互作用 / 分子シミュレーション |
Research Abstract |
計算科学的アプローチ法として、平成23年度に開発したサンプリング効率が高くなるように改良をした新規V-McMD法(Virtual-system coupled McMD法)に基づき、結合によってアミノ酸側鎖の構造が変化する蛋白質-蛋白質複合体の系に対する自由エネルギー地形計算を行って、天然の複合体構造が自由エネルギー的に最も安定な状態を取る事を確認できた。 一方、情報科学的アプローチとして、蛋白質機能部位における分子表面の形状と静電位の分布に対し、そこに結合するリガンド分子との関連性を明らかにするため、分子表面を形成するパッチの形状や静電位の類似性を高速に探索する手法を開発した。その手法を用いて、リガンド低分子毎にパッチ間の網羅的な比較とクラスタリングを行い、代表的なパッチを選択した。次に、この代表パッチ間の網羅的な比較により、フォールド構造の異なる蛋白質においても共有されているパッチを見出してリガンドが結合する分子表面の多様性を明らかにした。この代表パッチ構造は、分子表面の類似性検索を行うeF-seekツールに精度を保ったまま高速に検索できる手法として実装された。 さらに、ネットワークで重要な役割を果たすハブ蛋白質についてユビキチンを例にとり、リガンド依存的なダイナミクスの解析を行った。弾性ネットワークモデルを用いた基準振動解析により、基準振動の最低モードの回転軸が結合するリガンドの形と相関があり、リガンド分子の慣性モーメントの主軸とほぼ平行となっていることを見出した。さらに、ユビキチンとその複合体(9種類)に対する解析から、複合体中のユビキチン分子の運動は多くが単量体の運動に含まれていること、リガンド結合モードは相互作用と無撞着であるが、自己結合モードは相互作用を弱める方向に働いていて、両者の絶妙なバランスによって多彩な複合体が形成されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画にほぼ沿って研究が進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
計算科学的アプローチ法として、平成23, 24年度に開発・確立したサンプリング効率が高くなるように改良をしたV-McMD法を、Zero-dipole summationによる高速分子動力学計算プログラムと組み合わせて周期系に対して応用し、結合によってアミノ酸側鎖や主鎖構造が変化する系に対する、複合体形成に関わる自由エネルギー地形の計算を実施し、定量的な蛋白質間相互作用解析を実現する。 一方、情報科学的アプローチとして、平成23, 24年度に行われた、蛋白質の相互作用ネットワークで重要なハブ蛋白質であるユビキチンのダイナミクスの解析手法をさらに発展させその特徴を得る。 これら計算科学および情報科学的解析をまとめ、定量的なインタラクトーム解析法を確立する。
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Research Products
(12 results)