2012 Fiscal Year Annual Research Report
超顕微鏡技術を用いた分化多能性細胞から終分化細胞へのアクチン繊維分化系統図の作成
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23370072
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩根 敦子 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授 (30252638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 朋信 大阪大学, 免疫フロンティア研究センター, 招へい准教授 (00375205)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アクチン繊維 / クライオトモグラフィー / 生物物理 / 生体分子 / 超精密計測 |
Research Abstract |
平成24年度は前年度の結果を踏まえ、岩根と研究分担者の渡邊とで細胞観察系の構築として分化誘導観察系の構築としてマウス骨格筋細胞由来の筋前駆細胞であるC2C12細胞から筋芽細胞、さらに筋管細胞である骨格筋細胞に分化させる試みを行い、自動拍動を効率よく観察出来る系を立ち上げた。また、アクチンの存在場所を同定するためのツールの開発については細胞にマイクロインジェクションで蛍光や金ナノ粒子結合アクチン結合蛋白質を導入、同定する系を立ち上げる準備を行った。 一方、岩根と連携研究者の藤井とで生細胞内の電子顕微鏡超高分解能観察として従来のTEM観察以外にScanning TEM(STEM)法を用いることで哺乳類生細胞の比較的薄い細胞膜に近い部位にみならず細胞小器官の断層写真を撮れるようになり、生細胞内をクライオ環境下で切片作成をせずに、構造解析を行うための系の構築がおおむね整った。ただ、クライオ電子顕微鏡装置が設置されている建物の隣の新たな建物の工事に伴い、数位ヶ月間にわたる想像以上の振動により顕微鏡観察に影響を受けたことは早急な研究遂行に影響を与えた。 さらに、切片作製に関してはオランダユトリヒト大学でのLeica主催の“Cryomethods. Ultramicrotomy and Immunolabeling”ワークショップに参加、技術習得した後、染色組織切片そしてクライオ組織切片作製の系をほぼ立ち上げた。 哺乳類の体細胞の厚さはスピロプラズマや細胞性粘菌のように薄くないのでアクチンの状態変化を比較するためには細胞膜直下での比較的薄い部分のみならず、厚い部分の構造も見ることが必須となる。細胞凍結後、観察試料は ①連続切片、②細胞表面から削り落としたものにするか現在、検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C2C12細胞から筋芽細胞、さらに筋管細胞である骨格筋細胞に分化させ、自動拍動を効率よく観察出来る系を立ち上げることができたという細胞観察系の構築はおおむね順調に進展していると言えるが、電子顕微鏡観察系の構築については多少遅れを感じる。これは残念ながら少なからずもCiNet新棟の工事に伴う影響であると考えられる。クライオトモグラフィー撮影は通常、連続撮影時間として1撮影1時間から90分程度必要であるが、その間にトラックの移動等に起因する振動により電子ビームが飛ぶことで数ヶ月間に渡りデータを得る事が困難であった。研究遂行上予測できず、また電子顕微鏡装置を変えての条件検討が多少し難い研究課題であるので残念である。
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Strategy for Future Research Activity |
工事も終了した今、少し遅れがちなクライオ組織切片を用いた生細胞電子顕微鏡観察を早急にすすめて行くつもりである。一般的には顕微鏡観察に相応しい凍結切片の厚さは100 nm以下であるが、その中にはアクチン繊維は4から6本程度しか存在しない。そこで、連続切片によるTEM観察だけにとらわれず、少しあつみの有る観察でも対応出来るSTEM法を導入して筋分化に伴うアクチン繊維の形態変化の様子を超分解画像撮影し、系統図作成のための解析へと進めたい。
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Research Products
(25 results)