2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23370074
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
上久保 裕生 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (20311128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 幹雄 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 教授 (30150254)
山崎 洋一 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助教 (40332770)
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Keywords | 蛋白質工学 / 分子設計 / フォールディング / 酵素 |
Research Abstract |
我々は、蛋白質一般に、アミノ酸配列の分断によって、構造・機能に著しい影響が生じる領域が存在することを示してきた。本研究では、これらの領域が、構造や機能の基本要素(エレメント)になっているとの仮説を実証するために、類似構造を有する「異種」蛋白質間での、エレメントの位置保存性を確認し、さらに、蛋白質間でのエレメントの交換可能性について検証した。 構造エレメントが、構造形成において基本要素であるとすれば、仮に、配列一致度が低かったとしても、類似構造を示す蛋白質間では、構造上、相同な位置に構造エレメントが存在することが期待される。そこで、互いに類似した構造を有するものの異なる機能を示す2つの蛋白質、核酸分解酵素Staphylococcal nuclease(SNase)及び転写調節因子ヒト由来p100蛋白質SNDドメインの構造エレメントを比較した。Snaseについては、すでに全領域に対して網羅的アラニン挿入変異解析を行い、構造エレメントの同定に成功している。そこで、ここではSNDのα2ヘリックスに対して新たにアラニン挿入変異解析を行った。SNDのアラニン挿入変異解析の結果、ヘリックスのC末端領域に構造エレメントが存在することが明らかになった。Snaseの結果と比較すると、立体構造上、両者の構造エレメントは立体構造上、相同な場所に位置していた。この結果は、構造エレメントの位置保存性を示唆するものだといえる。 機能エレメントの移植によって蛋白質が持つ機能の改変が可能かどうかを検証するために、ここでも同様にSnaseとSNDを用い、Snaseから抽出した機能エレメントのSNDへの移植を試みた。本年度は、機能エレメントをSNDに移植したコンストラクトの作製まで実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SNDの網羅的アラニン挿入変異解析の過程で、円偏光二色性分光測定による解析の結果から、より詳細に構造評価をする必要が生じた。そこで、新たに赤外吸収分光装置を購入し、測定を行うことによって、SNDの構造エレメントを同定することに成功した。機能エレメント移植に関しては、機能評価実験には至らなかったものの、分子設計、コンストラクトの調製まで実験を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
構造エレメント評価については、α1領域について位置保存性を検証することができた。次年度以降、他の領域に対してもアラニン挿入変異解析を行うことで、構造エレメントの位置保存性を検証する。機能エレメントの移植については、すでにコンストラクとの作製を終了しており、精製条件の検討した上、活性評価を行うことで機能改変の可能性について継続して検証を続ける。この結果を踏まえ、機能エレメントを用いた機能設計の基盤を整備する。
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