2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクレオソームイメージングを用いたヒトゲノムクロマチンの細胞内ダイナミクスの解析
Project/Area Number |
23370078
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
前島 一博 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00392118)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | ゲノム / 遺伝学 / 核酸 / 生物物理 |
Research Abstract |
24年度実績報告でも記述したように、全長2mにもおよぶヒトゲノムDNAは人体の設計図であり、ヒストンに巻かれてヌクレオソーム構造を作り、直径約10μmの細胞核のなかに折り畳まれている。最近、代表者はこのヌクレオソーム構造がとても不規則な形で 、核内や染色体内に折り畳まれていることを見出した。このことは、個々のヌクレオソームが規則的な構造として縛られず、ある範囲でダイナミックに動ける可能性を示唆する。このようなヌクレオソームの「ゆらぎ」に基づく動きが、遺伝子の発現、DNA複製、染色体凝縮などのゲノム機能に重要な役割を果たしていると思われる。本研究では、このことを実証するため、生細胞内のヌクレオソーム1分子の動きを直接イメージングする技術を開発し、ヒトゲノムクロマチンの細胞内ダイナミクスを明らかにする。24年度は以下の実験をおこなった。 PA-GFP-H4安定発現細胞のライブ観察と動きの解析 1分子観察には、徳永らが考案した細胞核内の1分子観察に適した斜光照明のシステム (Tokunaga et al., Nat. Methods, 2008)を用いた。はじめに固定したPA-GFP-H4安定発現細胞株を利用して、1分子の観察のための測定検討を行った。幸運なことに、代表者らは405 nmのレーザー刺激を行わなくても、PAGFP-H4の輝点を観察できることを見出した。おそらく、多数のPA-GFP-H4のうち、ごく少数は偶発的にPA-GFPが活性化したと考えられる。このようにして、固定した細胞を用いて観察条件を決定した。さらに1個1個のヌクレオソームの動きをトラッキングし、動いた距離を算出してその分布図を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
生細胞のなかで、ヌクレオソームの動きを実際に観察し、その「ゆらぎ」を証明でき、論文としても報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的は達成された。今後は、その「ゆらぎ」の性質を細かく調べていく。また、今までPA-GFP-H4安定発現細胞のライブ観察をおこなっており、順調に結果が出た。その一方、ヒストンH4のN末テール部分はアセチル化、メチル化など多くの修飾が起こることが知られているため、PA-GFPによる立体障害によって、H4のN末テールの適切な修飾が起こらない可能性も否定できない。このため、H4の末側にPA-GFPを融合させたコンストラクトH4-PA-GFPを作製し、安定発現細胞を作製し、解析する。
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Research Products
(10 results)