2011 Fiscal Year Annual Research Report
膜オルガネラ動態を制御する新しいタイプの低分子量G蛋白質群の機能解析
Project/Area Number |
23370083
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (30302615)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福山 征光 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (20422389)
梶保 博昭 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (70401221)
齋藤 康太 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60549632)
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Keywords | 低分子量G蛋白質 / リソソーム / ファゴソーム / 線虫 / オルガネラ / メンブレントラフィック |
Research Abstract |
ファゴサイトーシスによるアポトーシス細胞の除去は、多細胞生物に高度に保存されたプロセスであり、その異常はヒトでは自己免疫疾患のような病態を惹起する。アポトーシス細胞の除去は、主にマクロファージなどの貪食細胞により行われ、アポトーシス細胞が貪食細胞に認識され取り込まれると、貪食細胞内にはアポトーシス細胞を含むファゴソームが形成される。その後、ファゴソームには様々なタンパク質が順次リクルートされてファゴソームの"成熟化"が進み、最終的には分解酵素を含むリソソームと融合しファゴリソソームが形成されて、アポトーシス細胞の分解が達成される。しかし、ファゴソームとリソソームの融合を制御する分子メカニズムは殆ど分かっていない。 本年度の研究において、主にリソソームに局在する低分子量Gタンパク質ARL-8に関して、線虫C.elegansを用いた解析から以下の知見を得た。 1.arl-8欠損変異体の生殖腺では多数のアポトーシス細胞が蓄積する。 2.arl-8欠損変異体におけるアポトーシス細胞の蓄積は貪食細胞sheath cellsでの分解異常が原因である。 3.arl-8欠損変異体におけるファゴソームの成熟化はRAB-7陽性の後期段階まで進行している。 4.arl-8欠損変異体ではファゴソームとリソソームの融合が殆ど観察されない。 以上の結果から、ARL-8がファゴソームとリソソームの融合過程に介在し、アポトーシス細胞の効率的な分解除去に重要な低分子量Gタンパク質であることが示唆された。先に我々は、ARL-8が後期エンドソームとリソソームの融合に関与することを見いだしており、ARL-8がリソソーム融合の介在する事象一般に、重要な因子である可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の解析対象の一つである低分子量Gタンパク質ARL-8に関して、未だその分子機構が不明なリソソーム・ファゴソーム間の融合に関与することを見出した点は大きな進展である。この知見は、リソソームとファゴソームの融合制御の分子メカニズムの理解に役立つと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
低分子量Gタンパク質ARL-8に関して、その活性制御因子を含めて周辺分子に関する知見は少なく、それらの同定が今後の重要な課題の一つである。
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Research Products
(11 results)