2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23370092
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Field |
Developmental biology
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
石井 泰雄 京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (20582430)
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Keywords | 器官形成 / 心臓 / 心外膜原基 / ニワトリ |
Research Abstract |
心外膜原基は、胚発生の過程で肝臓原基の近くに一過的に現れる中胚葉性の突起である。心外膜原基は心臓の冠動脈と心外膜の重要な起源であり、心臓が正常に発生するためは、心外膜原基が正しく心臓へと統合される必要がある。心外膜原基はループ状の原始心臓に向かって成長し、その表面への接着を経て心臓へと進入する。その接着は必ず心臓の特定の部位、すなわち房室接合部でおこるが、そのしくみについてはよくわかっていない。そこで平成23年度はまず、正常発生において心外膜原基が心臓表面へと接着する過程を詳しく観察した。艀卵開始後2.5-4日のニワトリ胚心臓を、ホールマウントおよび組織切片を作製して観察し、心外膜原基が房室接合部に接着する際に、心臓の他の部分、すなわち心房にも接触していることを明らかにした。研究代表者らはすでに、房室接合部からの分泌性シグナルが心外膜原基の成長を促進することを明らかにしているが、今回の観察結果は、それに加えて、心臓表面の心外膜原基に対する接着親和性が、心外膜原基の心臓への進入を制御している可能性を示している。その可能性を、実験発生学的アプローチにより検討するため、心外膜原基と心臓断片を互いに接触した状態で培養する新たな三次元培養法を確立した。くわえて、Par3,ZO1、B-カテニン、サイトケラチン等の抗体を用いた免疫染色の条件検討を行い、それらの抗体が心外膜原基の心臓への進入機構の解析に利用できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、心外膜原基の誘導機構の解明(a)、心外膜原基の心臓への進入メカニズムの解明(b)、心外膜原基幹細胞の動態の解明(c)を目的とする。平成23年度は、主に(a)および(b)のために必要な機器、試薬、実験手法を確立した。(d)に関しても解析の準備を進めており、研究はおおむね順調に進行していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、平成23年度に確立した実験手法、試薬、得られた予備的知見をもとに、心外膜原基の進入メカニズムに関する解析を重点的に行う。また、心外膜原基の誘導機構に関する解析も同時に進める。
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