2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23370092
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| Research Institution | Kyoto Sangyo University |
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Principal Investigator |
石井 泰雄 京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (20582430)
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| Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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| Keywords | 器官形成 / 鳥類胚 / 心臓 / 冠動脈 |
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| Research Abstract |
心臓全体に血液を供給する冠動脈は、その主な起源である中胚葉性の突起-心外膜原基-が、心臓の外から、初期の原始的な心臓に新たに付け加わることによって生じる。心外膜原基の心臓への融合の仕組みおよびその心臓発生における意義を理解することは、器官を構成する細胞の多様性に関する理解を深めるとともに、心疾患に対する血管再生療法の開発や効率化にも資する。平成25年度は、心外膜原基が心臓に融合する際の細胞学的変化および組織間相互作用の解析を行うとともに、平成26年度以降遂行予定の、冠動脈形成機構の解析に必要となる新たな遺伝子導入プロトコルを確立した。
1.心外膜原基融合時の細胞学的変化: 心外膜原基が心臓に融合する際に起こる細胞学的変化を、in vitro共培養法を用いて時間を追って解析し、心外膜原基を覆う上皮組織が、心臓との接触部位で、細胞突起の伸長、細胞外基質成分の蓄積を経て開口し、心臓表面を覆い始めることがわかった。アポトーシスの関与を支持する証拠は得られなかった。
2.融合を制御する組織間相互作用の分子機構: 心外膜原基の心臓への融合は、必ず心臓の房室接合部で起こり、同じく心外膜原基の近傍に位置する心房では起こらない。単離したウズラ胚の房室接合部または心房を、卵殻内のニワトリ胚心外膜原基の近傍に移植する実験を行った結果、心外膜原基にとって、心房よりも房室接合部の方がより融合しやすいことがわかった。心外膜原基と房室接合部の間で特異的に起こるEph-ephrinシグナル伝達が心外膜原基の融合を促進することを示唆する結果を得た。
3.遺伝子導入法の確立: 従来のリポフェクション法を改良し、トランスポゾンベクターを導入することにより、心外膜原基に遺伝子を効率よく導入し、長期間にわたって発現させることが可能となった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の目的は、冠動脈前駆細胞が心臓に正しく統合されるメカニズムを明らかにすること、これら前駆細胞の心臓への進入経路および進入後の動態が冠動脈形成に果たす役割を明らかにすることである。平成25年度は、冠動脈の起源である心外膜原基の心臓への融合メカニズムに関する解析を行い、細胞極性の変化を伴う組織の再編成および接触に依存した組織間相互作用の関与を示唆する新たな証拠を得、論文発表に向けて大きく前進した。当初予定していた冠動脈前駆細胞の心臓への進入経路の役割に関する研究は、技術的な問題で進展が遅れているが、代替となる遺伝子レベルでの実験手法を確立しつつある。平成26年度以降予定している心臓進入後の冠動脈前駆細胞の動態に関する研究に先立って、遺伝子導入のプロトコルを改良するとともに、ベクター作製および予備的な解析を行った。以上の点から、研究の進展は予定よりやや遅れているものの、これまで蓄積したリソースを活用し、当初の目的を達成することが可能と考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
心外膜原基融合を制御する組織間相互作用に関してさらに解析を進める。Eph-ephrinシグナル伝達を活性化あるいは阻害する強制発現ベクターあるいはタンパク質をを導入、添加し、心外膜原基の心臓への融合、マーカー遺伝子発現および融合に関与する可能性のある分子の局在への影響を調べる。得られた結果をとりまとめ、論文発表を行う。
心外膜原基細胞の進入経路が、冠動脈の走行決定に影響を及ぼす可能性が考えられる。当初はその可能性を組織移植の実験により検討する予定であったが、心外膜原基を移植した胚の生存率が低く、解析が困難であることがわかった。平成25年度に行った研究により、心外膜原基細胞の進入経路に影響を及ぼす細胞間シグナル伝達が明らかになりつつあり、今後は分子レベルでのアプローチによる解析を行う予定である。
平成26年度以降は、心臓進入後の冠動脈前駆細胞の動態および冠動脈形成に関する研究を行う。心外膜原基を起源とする前駆細胞は、心臓を覆う心外膜を形成し、その一部が上皮-間充織転換を経て冠動脈へと分化する。In vitro培養系を用いた添加実験により、心外膜原基細胞の移動や分化に影響を与える液性シグナル分子が同定されている。冠動脈形成期の心外膜原基由来の前駆細胞の分布を詳細に解析するとともに、新たに確立した遺伝子導入プロトコルを用いて上記の液性シグナル分子を強制発現させ、冠動脈前駆細胞の移動、集積、分化および冠動脈の走行への影響を調べる。
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