2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネ細胞質雄性不稔性発現機構と稔性回復機構の分子基盤解明
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23380002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鳥山 欽哉 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20183882)
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Keywords | 育種学 / 遺伝学 / 遺伝子 / 植物 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
本研究ではイネにおける複数の雄性不稔細胞質(LD-CMSなど)と稔性回復遺伝子(Rf2など)を材料として、ミトコンドリアの雄性不稔原因遺伝子の特定、稔性回復機構,および、ミトコンドリアから核へのレトログレードシグナル伝達経路の解明の解明を行い、ミトコンドリアゲノムの異常から花粉稔性の消失までの全容(雄性不稔発現機構および稔性回復機構)を明らかにすることを目的としている。 1.ミトコンドリアのCMS原因遺伝子解析:LD型CMSの原因遺伝子について詳細に解析した。この結果、LD型CMSのミトコンドリアにはBT型CMSと類似したL-orf79が存在し、atp6と共転写されること、ORF79ペプチドが蓄積していることを明らかにした。更に、Rf2が存在するとatp6-orf79RNA蓄積量が減少し、ORF79ペプチド蓄積が減少することを明らかにした。これより、LD型CMSの原因遺伝子はorf79であると考えられた。 2.稔性回復機構の解析:これまでクローニングしたRf2はグリシンリッチプロテインをコードし、他の因子と結合して働くと予想された。結合相手をYeast-Two-Hybrid法で探索したところ、4種類のcDNAを含むクローンが選抜された。現在、結合性の確認を行なっている。また、稔性回復遺伝子産物RF2対する抗体を作成した。 3.レトログレードシグナル伝達経路の解明:花粉不稔の表現型が異なる5種類のCMS系統について各系統特異的に発現が変動する遺伝子群のシス配列を解析した。花粉特異的な発現に係るシス配列が多く見られた。各系統特異的なコア配列を見出した。ミトコンドリアからのレトログレードシグナルにより、これらの遺伝子が花粉特異的な発現変化を起こすことが花粉特異的な異常、表現型の違いを示す原因である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミトコンドリアのCMS原因遺伝子解析と稔性回復機構の解析および、レトログレードシグナル伝達経路の解明は予定通り進展した。3年間の研究期間に充分な研究成果が得られる目処が立った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで報告された稔性回復遺伝子のほとんどはRNA結合タンパク質をコードしているが、本研究のLD-CMS/Rf2の研究を推進すれば、新奇の稔性回復システムを明らかにすることができる。 ミトコンドリアに由来するレトログレードシグナルの実態に迫るためには、レトログレードシグナル依存的な発現を示すことを明らかにした稔性回復遺伝子RF17のプロモーター領域、あるいは、系統特異的に発現が変動する遺伝子群のプロモーター領域に多く見出したコア配列に結合する因子を単離する実験を行えば突破口が開けると考えている。
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Research Products
(19 results)