2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380003
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
内宮 博文 埼玉大学, 環境科学研究センター, 教授 (50142229)
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Keywords | 温度環境変動 / メタボローム解析 / バイオマス / 二酸化炭素 / 熱放散パラメーター / 葉緑体 / 還元シグナル / クロロフィル蛍光測定 |
Research Abstract |
本年度は、温度環境変動における植物代謝に関与する因子の活性化、代謝物とストレス耐性との関係を解析する目的で研究を行った。イネ、アラビドプシス、ルメックス属植物を材料として、メタボローム解析による条件検討を行った。アミノ酸、有機酸、ヌクレオチド化合物など広範囲な代謝物の変動を、主成分解析、クラスター解析などの統計処理により統合化した。その結果、大気における二酸化炭素の濃度により、植物の代謝物の変動が確認された。特に、有機酸、アミノ酸の蓄積が土壌栄養により相乗的に影響されることを明らかにした。即ち、供与する炭素と窒素の比率がバイオマス成分の蓄積に大きく影響する。本研究は、温暖化の原因因子である二酸化炭素の効果とバイオマス生産効率を解析するうえで重要である。また、増加する休耕地などでの雑草の繁殖を制御するうえで貴重な知見である。次に、光化学反応における電子分配を利用した熱放散パラメター解析を行い、光や高温応答におけるホトブリーチング効果について検討した。一方、強度の光適応植物であるイネでは、インデカとジャポニカ品種間で遺伝学的変異を確認しているおり、原因遺伝子の解析を進めた。葉緑体中の疎水性タンパク質は、電子受容を介して光合成の酸化還元に重要な機能を有する。予備的に、光合成電子伝達を調べ、光化学系IIの量子収率推定を試みた。一方、温度環境変動における還元力の重要性から、還元力伝達装置、すなわち光化学複合体の防御機構にも焦点を当てる必要性を指摘した。今後、高温環境における光反応により生じた還元シグナルが、植物の炭素や窒素の代謝反応にどのように影響するのかを調べる必要がある。また、高温適応性の違いを詳細に解明する目的で、蛍光測定によりイネ亜種やルメックス植物における熱放散因子の変動を解析する必要がある。以上の研究成果は論文、学会等にて公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
温暖化の原因因子である二酸化炭素の効果とバイオマス生産効率を解析するうえで重要な研究成果を発表した。また、供与する炭素と窒素の比率がバイオマス成分の蓄積に大きく影響する指摘は新規である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究課題は、高温環境における光反応により生じた還元シグナルが、植物の炭素や窒素の代謝反応にどのように影響するのかの解明である。その為には、クルロフィル蛍光測定の精度を向上させ、熱放散因子の変動を正確に解析する必要がある。また、遺伝し発現における外来性遺伝子の機能解析を推進する必要がある。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Fate of 13C in Metabolic Pathways and Effects of High CO2 on the Alteration of Metabolites in Rumex obtusifolius L2011
Author(s)
Miyagi,A., Takahara,K., Kasajima,I., Takahashi,H., Kawai-Yamada,M. and Uchimiya,H.
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Journal Title
Metabolomic
Volume: 7
Pages: 524-535
DOI
Peer Reviewed
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