2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380003
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
内宮 博文 埼玉大学, 環境科学研究センター, 教授 (50142229)
|
Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
|
Keywords | シュウ酸 / メタボローム解析 / 温暖化 / 二酸化炭素 / 熱放散バラメーター / 葉緑体 / 還元シグナル / クロロフィル蛍光 |
Research Abstract |
本年度は、温度環境応答を解析するうえで、植物独特の代謝産物であり、ストレス時に重要な役割を果たすシュウ酸を中心とした代謝解析を行った。キャピラリー電気泳動-質量分析装置(CE-MS)を用いて、シュウ酸の他、アミノ酸、有機酸、リン酸化合物などの一次代謝産物の一斉解析を行い、多変量解析(主成分分析、相関解析、クラスター解析)により統合化した。その結果、ルメックス属植物の葉においてイタコン酸(イソクエン酸リアーゼの阻害剤)による大幅なシュウ酸蓄積阻害が認められ、可溶性シュウ酸の主要合成経路がイソクエン酸経路であることを初めて明らかにした。また、シュウ酸の蓄積量の低下に伴い、クエン酸などのシュウ酸周辺有機酸のほか、グルタミン酸やアスパラギン酸といった主要アミノ酸の増加が認められた。イネの幼植物体においても、イタコン酸によるシュウ酸含有量の低下が認められた。さらに、13Cトレーサー実験により、ルメックス属における可溶性シュウ酸が茎からのクエン酸の転流により合成されることを示した。シュウ酸は植物において被食防御やAl3+耐性などに役立つ一方、ヒトや家畜において低カルシウム結晶や尿路結石などの重篤な症状を引き起こし、急性中毒の場合には死に至ることが知られている。そのため、これらの研究成果は、ホウレンソウや稲わらなどの高シュウ酸作物の低シュウ酸化に役立つことが期待される。さらに、低シュウ酸化により余剰の炭素がクエン酸やアミノ酸などの有用物質の供給されることから、本研究成果が作物の品質向上にも繋がることが期待される。本研究は、地球温暖化など、内的外的環境因子が植物の代謝物に及ぼす効果を研究するうえで重要である。以上の研究成果は論文、学会等にて公開した。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(10 results)