2011 Fiscal Year Annual Research Report
節肥性を示す異種染色体添加コムギおよび合成コムギの遺伝育種学的研究
Project/Area Number |
23380006
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
辻本 壽 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 教授 (50183075)
|
Keywords | コムギ / 染色体添加 / リン酸肥料 / 亜鉛 / 節肥性 |
Research Abstract |
少ない肥料で生育できる形質(節肥性)を作物に付与することは、肥料資源と地球環境の保護のため、今後の育種に求められる重要な性質である。申請者らは、これまで、多数の異種染色体添加パンコムギ系統を調査し、リンおよび亜鉛効率の高い系統や硝化抑制作用のある系統を見いだした。 ①ハマニンニク特異的マーカーの作成: RFLPおよびESTマーカーのDNA配列を元に、オオハマニンニクJ染色体用のマーカーを作成することを目標に行った。その結果、ハマニンニク染色体の存在を同定する確実なマーカーを複数得ることができた。しかし、未だに目的とするオオハマニンニクのJ染色体についてのマーカーは少ない。今後、次世代シーケンサーによりオオハマニンニクゲノムを部分解読するなどの方法で、対処することを考えている。 ②J染色体の欠失・転座の誘発: 昨年度の研究で、オオハマニンニクのJ染色体添加パンコムギ系統を用いた研究を行ったが、この研究で用いた染色体添加系統からJ染色体が脱落していることが分かり、そこで、染色体観察によりJ染色体が確実に1対添加されている系統を選抜し直し、その種子を大量増殖した。期間内に予定通りの欠失系統作成による遺伝分析はできないので、RNAseqなどの方法によって、リンの吸収性についての分子生物学的分析を行う。 ③種子中の亜鉛及びミネラル含量の測定: ICP発光装置により異種染色体添加系統および一次合成コムギ系統の亜鉛、鉄、マンガン、銅、カリウム含量を調査した。その結果、系統により大きい多様性のあることを見いだした。一方で、一次合成コムギ系統とパンコムギ系統の異種染色体添加系統の組換え近交系統をDArTマーカーで解析し、連鎖地図を作ったので、このデータと合わせて、ミネラル含量のQTLを調査しようと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロジェクト研究員と技術補佐員を雇用して昨年度の研究の遅れを取り戻すよう努力した。その結果、異種染色体のマーカー作成については、研究が進んだが、予定していたJ染色体のマーカー数(20個)には達していない。転座系統作成については、親材料に問題が生じ、予定通り進んでいない。ミネラル含量測定については、当初の予定通り進んだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
マーカー作成については、ハマニンニクのゲノムを部分的に解読するなどの方法で進める。材料の問題で、欠失地図作成によるリン酸の節肥遺伝子同定は困難であるので、RNAseqにより、J染色体添加系統の高リン酸吸収性を分子生物学的に明らかにしたい。
|
Research Products
(5 results)