2013 Fiscal Year Annual Research Report
ギニアグラスを用いたアポスポリー性胚嚢始原生殖細胞出現メカニズムの分子的解析
Project/Area Number |
23380009
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
陳 蘭庄 南九州大学, 環境園芸学部, 教授 (40284822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鉄村 琢哉 宮崎大学, 農学部, 教授 (00227498)
吉田 薫 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (70183994)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アポミクシス / 胚嚢始原生殖細胞 / ASG-1遺伝子の機能解析 / ギニアグラス / シロイヌナズナ / 遺伝子組換え植物体 / 胚嚢分析法 / 多胚嚢形成現象の出現 |
Research Abstract |
1、アポミクシス性ギニアグラスを用いたアポスポリー性胚嚢始原生殖細胞の単離と解析:1)蕾および子房の大きさと子房の色は子房の成熟期間と正比例関係にあることが分かった。よって子房の色で子房の発育時期を推定できる。2)酵素液に浸した子房をさまざまな前処理を施すことによって、シングルプロトプラストの効率的な単離が可能となった。3)さらに単離されたシングルプロトプラストは、超微量電子スポイトピコピペットを使って回収することができた。 2、ASG-1を用いた遺伝子組換えシロイヌナズナの機能解析ー乾燥耐性実験:1)急激な乾燥実験では、T3世代においては、6時間の乾燥後もダメージがほとんど見られず、再吸水後1日で完全に復活した。それに対して対象区では、6時間後にごく一部で緑化が見られたものの、全体的にダメージが大きく2日後には白化し枯死した植物が多く見られた。2)長期的な乾燥実験では、14日間断水を行っても通常の生育を保ち、生存個体数による生存率が最も高かった。これらの結果からASG-1遺伝子導入されたシロイヌナズナは乾燥耐性の効果があると推定された。 3、ASG-1を用いた遺伝子組換えシロイヌナズナの機能解析ー胚嚢分析:微分干渉顕微鏡を用いて蕾や小花を使って胚嚢分析を行った。組換えシロイヌナズナでは、一部ではあるが、次の3種類の胚発育パターンが見られた。(1)多胚嚢胚珠形成:同じ胚珠に2つの胚嚢が珠孔側から出現して胚嚢中の胚が正常に生育している;(2)胚嚢の珠孔側からの多胚形成:1つの正常な胚のすぐそばに胚様体がもう1つある;(3)馬蹄状の胚嚢の両方から1つずつの胚が形成される。これらの結果から、ASG-1はアポミクシス現象に深く関わっていると考えられる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アポミクシス性特異的遺伝子ASG-1を用いてシロイヌナズナに導入して得られた遺伝子組換え植物体について、微分干渉顕微鏡を用いて胚嚢分析法による観察を実施したところ、1胚珠に多胚嚢形成現象が出現した。この結果は、予想を超えて、これまで構築した遺伝子組換えシステムはうまく機能して、しかもASG-1遺伝子の予想されている形質が発現していることを意味する。また、このほか、1胚嚢に多胚形成現象が出現した。この結果もASG-1遺伝子が胚形成にかかわる特異的な遺伝子であることを意味する。この実験結果から、本実験の計画でASG-1遺伝子の機能解析が順調に進んでいることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は来年度で終了する年であるが、全体としてほぼ順調に推移している。中で部分的に予想以上に実験結果が出ている。基本的に計画通りに進めたいと考えている。 また、今後とも研究分担者や研究協力者と密に連携を保ちながら役割分担をしっかり明確して、研究の遂行に支障が出ないよう、細心な注意を払いながら強力に推進したいと考えている。
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