2011 Fiscal Year Annual Research Report
多着花をもたらすカキわい性台木の花芽制御システムの解明
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23380020
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鉄村 琢哉 宮崎大学, 農学部, 教授 (00227498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本勝 千歳 宮崎大学, 農学部, 助教 (30381057)
田尾 龍太郎 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10211997)
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Keywords | わい性台木 / カキ / 花芽原基 / 花成関連遺伝子 |
Research Abstract |
主材料であるわい性台木MKR1に加え、台木a、FDR-1の挿し木繁殖は順調に行えたものの、KD-3については、スリップスの被害が著しく材料を得られず繁殖できなかった。対照区である実生台木については、'富有'種子を取り播きして育成した。一方、'富有'を穂木として、また、接ぎ木用の苗として育成したMKR1、FDR-1および実生を台木として3月に切り接ぎし、実験材料を育成した。 多着花性に関する調査は成木で今まで行ってきた調査を継続すると共に'太秋'および'早秋'若木でも調査し、樹齢が若くてもMKR1やFDR-1を台木とすると着花率が高くなることを明らかにした。冬芽の大きさとそれから発生する新梢が有する花数の関係について、実生台樹や喬木性台樹、自根樹では従来の報告通り相関関係は認められなかったが、MKR1台樹については、'富有'、'平核無'ともに正の相関関係が確認され、MKR1台木が穂木の花芽形成に及ぼす影響は他台木と異なる可能性が高いことが示唆された。着花性と関連する生理落果や2次伸長枝発生についてもMKR1台木やFDR-1台木が他台木樹と比較して異なる性質を与えていることがわかっており、これらは根から産生される植物ホルモンが関与しているものと思われた。 '平核無'から冬芽をサンプリングし、購入したデジタルマイクロスコープを用い、りん片はく皮法により花原基数を調査した結果、MKR1台樹の原基数は1芽当たり5.8個であり、実生台木樹の0.7個とは大幅に異なった。また、MKR1台樹の芽には花芽分化途中の原基も多数存在し、花芽原基形成においてMKR台木が穂木へ大きな影響を及ぼしていることが明らかになり、新梢が有する花芽数の多さを裏付ける結果が得られた。現在、'富有'についても同様の調査を行っている。 京都大学では、花成関連遺伝子の発現量を計測するための手法を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予算を全額受け取る時間が遅れたことによるデジタルマイクロスコープの購入時期が遅れた原因で冬芽内花芽原基数の調査の開始が遅れたこと、24年度に使用予定の実験材料を全て揃えることができなかったことなどから「やや遅れている。」と評価した。ただし、花芽の調査については予想通りに行うことができ、来年度以降の実験には大きな支障は出ないと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
富有'冬芽の花芽原基調査は24年5月までかかると予想しているが、24年度の花芽調査は6月から開始するので、計画通りに進めることを予想している。また、花成関連遺伝子の発現量調査も6月より同様に開始する予定である。他の計画も同様に、サンプル数や処理区に若干の変更があるものの内容的には予定通り進めることができものと思われる。
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Research Products
(1 results)