2013 Fiscal Year Annual Research Report
果樹等の越冬組織の凍結挙動の新規可視化法の開発とその支配因子の同定
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23380023
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
石川 雅也 独立行政法人農業生物資源研究所, 植物生産生理研究ユニット, 上級研究員 (90355727)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 耐寒性 / 氷核活性 / 可視化 / 凍結 / 氷 / 水 |
Outline of Annual Research Achievements |
果樹等の高耐寒性植物がどのようにうまく制御しながら凍るか、重要な機構にもかかわらず、詳細は良く判っていない。本機構解明のため、本年度は、植物の素早い凍結過程を非破壊可視化できる赤外線サーモビュアを用いてレンギョウ枝の凍結挙動を解析した。レンギョウ枝では、ブルーベリー枝と異なり、枝全体がボーと昇温する凍結過程が観察された。枝を縦切り、横切りにして観察したところ、髄がまず凍結し、それが木部へ、そして皮層部へと伝搬することが判った。ブルーベリーと逆の凍結順位である。各組織の氷核活性を測定すると、髄の氷核活性が高く、木部、皮層部は活性が低く、赤外線サーモの観察結果とよく一致した。昨年の結果と総合すると、耐寒性植物の凍結には凍結順位があり、各組織の氷核活性が凍結順位を支配している主要因と考えられる。 ブルーベリー枝の氷核活性の季節変動を詳細に調べた。新枝では、氷核活性が低いが、7月から9月にかけて徐々に活性が高くなり、初霜直前に最も高い活性をもち、その後の降霜とともに少しずつ低下していくことが判った。枝の氷核活性はあたかも凍結センサーのように、機能し、凍結をいち早く検知し、枝皮層部の凍結を開始し、細胞外凍結を成立させると考えられた。枝における氷核活性分布を詳細に解析したところ、表皮は活性が低く、その下の柔細胞群の氷核活性(ここは細胞外凍結するところ)が著しく高く、その下の空隙組織も同様に氷核活性が高かった。ファイバーや師部から木部にかけては、氷核活性が低かった。皮層部柔細胞群を縦切、横切した小片(厚0.2㎜)にして、氷核活性検定及び冷凍顕微鏡による凍結過程の観察を行った。横切にすると、直後は活性が高いが一日後に活性が低下したが、縦切小片では活性は維持されていた。縦切切片では、柔細胞付近から―2℃で凍結開始することが観察された。その部位を特定することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機器が込み合っているため、MRIによる凍結過程可視化解析が大幅に遅れている。赤外線サーモを使った凍結過程の解析および凍結順位や凍結様式に関わる氷核活性の組織分布の解析については研究が進展し、植物組織の凍結順位や凍結様式の決定要因として氷核活性が重要であることが、初めて分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今回できなかった最新MRIをもちいた可視化解析にチャレンジする予定。また、赤外線サーモを使った凍結過程解析を続行する。ブルーベリー枝の氷核活性及び、その物質についてさらに詳細な解析を進める予定。
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[Journal Article] OsATG7 is required for autophagy-dependent lipid metabolism in rice post-meiotic anther development.2014
Author(s)
Kurusu T, Koyano T, Hanamata S, Kubo T, Noguchi Y, Yagi C, Nagata N, Yamamoto T, Ohnishi T, Okazaki Y, Kitahata N, Ando D, Ishikawa M, Wada S, Miyao A, Hirochika H, Shimada H, Makino A, Saito K, Ishida H, Kinoshita T, Kurata N, Kuchitsu K.
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Journal Title
Autophagy
Volume: 10
Pages: 878-888
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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