2011 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズの根粒・菌根二重共生系の成立に関与する宿主遺伝子の網羅的解析
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23380042
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 一憲 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 教授 (10225807)
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Keywords | 遺伝子 / 植物 / 土壌学 / 微生物 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
平成23年度はダイズ(品種エンレイとEn6500)を温室栽培し根部のRNAを抽出した.そしてDNAマイクロアレイを用いて根粒菌と菌根菌の接種に対して共通的または特異的に発現する宿主遺伝子を網羅的に解析した.実験結果の詳細は以下のとおりである. (1)ダイズ栽培とtotal RNAの抽出 ダイズの品種エンレイとオートレギュレーション機構が欠損した突然変異体(En6500)をワグネルポットに播種しガラス温室内で栽培した.試験区は,非接種区,根粒菌接種区,菌根菌接種区,二重接種区を設けた.根粒菌と菌根菌はダイズの播種時に接種を行ない,播種から6週問後(開花期)にダイズを収穫し,根部からtotal RNAを抽出した. (2)DNAマイクロアレイ解析 抽出されたtotal RNAは滅菌水に溶解させ,超低温槽を用いて-80℃で保存した.ダイズのアレイ解析には理化学研究所が中心となって開発し現在アジレント社より市販されているダイズオリゴDNAマイクロアレイを用いた。得られたデータは解析ソフト(GeneSpring ver.9等)を用いて解析した.エンレイおよびEn6500の根粒菌接種区,菌根菌接種区および二重接種区の各スポットの発現値を非接種区の値で除して発現比を算出し,発現比が2倍以上を示す遺伝子を発現上昇遺伝子とした.その結果エンレイの場合,根粒菌の接種で187個,菌根菌の接種で441個の遺伝子が発現上昇していることが判明した.根粒菌と菌根菌とで共通して発現上昇した遺伝子は34個であった.来年度以降はこの34個の遺伝子の中から共生関係に重要と思われるものを抽出し,発現定量・局在性解析等の実験に供試する予定である.En6500の結果については現在解析を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおりダイズ品種エンレイとEn6500についてDNAマイクロアレイ解析を終了することができた.また宿主の発現遺伝子を調べたところ,根粒菌と菌銀菌の接種によって共通して発現上昇する34個の遣伝子を見い出すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成鉛年度の成果としてダイズに根粒菌または菌根菌を接種することによって共通して発現する宿主遺伝子を34個発見することができた.平成24年度以降は,これらの選伝子の中から特に共生関係にとって重要である遺伝子を抽出し,計画どおり発現定量解析(リアルタイムPCR法)と発現の局在性解析(プロモーターGUS法)を行う予定である.
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Research Products
(6 results)