2012 Fiscal Year Annual Research Report
ダイズの根粒・菌根二重共生系の成立に関与する宿主遺伝子の網羅的解析
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23380042
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂本 一憲 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (10225807)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 植物 / 土壌学 / 微生物 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
前年度のマイクロアレイ解析で明らかになった二重共生特異的遺伝子の中から,重要な遺伝子としてType1メタロチオネイン(MT1)遺伝子を選び,その特性を調べた. (1)MT1遺伝子の発現量の変化 ダイズ品種エンレイをポット栽培し,根から抽出したtotal RNA試料を逆転写しcDNAを合成した.このcDNA試料を10倍づつ5段階に希釈した.MT1遺伝子の塩基配列をダイズ完全長cDNA配列データベースから取得し,プライマー設計ソフトを用いてMT1遺伝子を特異的に増幅するプライマーを設計した.このプライマーを用いて各希釈段階の試料についてリアルタイムPCRを行い,相対的発現量を求めた.その結果,MT1遺伝子は菌根菌を単独で接種した場合が最も高く発現すること,次いで根粒での発現が高いことが判明した.またダイズの生育が進行するにつれて発現が変化することもわかった. (2)MT1遺伝子の発現部位の解析 本実験ではAgrobacterium rhizogenes 株を用いてMT1遺伝子のプロモーター配列とGUS遺伝子との融合タンパク質を発現するダイズの毛状根形質転換体の作製をおこなった.バーミキュライト培土にエンレイ種子を播種し2週間人工気象器内でポット栽培した.その後エンレイの下胚軸にA. rhizogenes 株を接種し接種部分が培土に埋まるようにして3週間生育させた.その結果,ダイズ根に毛状根を発生させることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり重要な二重共生特異的遺伝子としてType1メタロチオネイン遺伝子を見い出すことができ,本遺伝子の発現特異性を明らかにすることができた.発現部位の解析についてはAgrobacterium rhizobium株を用いてダイズに毛状根を発生させることができたが,実際の発現部位解析は次年度に持ち越すこととなった.
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Strategy for Future Research Activity |
まずメタロチオネイン遺伝子の発現ベクターを開発し,ダイズ根における遺伝子発現部位を明らかにする.また初年度のマイクロアレイ解析の結果からオートレギュレーション機構に関与する二重共生特異的遺伝子を明らかにし,その発現の特性と局在性を明らかにする.以上の実験結果を持って3年間の研究のまとめをおこなう.
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Research Products
(4 results)