2011 Fiscal Year Annual Research Report
ランチビオティック工学の展開:構造生物学的情報に基づく微生物酵素の改変
Project/Area Number |
23380050
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
園元 謙二 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (10154717)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 大輔 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80186618)
|
Keywords | ランチビオティック / 異常アミノ酸 / nukacin ISK-1 / ペプチドデザイン / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
特異的吸着型耐陛タンパク質NukHの構造解析を目的として下記の成果を得た。nukHをクローニングしたプラスミドであるpBADHによって形質転換したEscherichia coli C43 (DE3)の膜画分からのNukHの可溶化実験を行った。その結果、His_6-NukHを可溶化できた界面活性剤はn-dodecyl-β-D-maltoside(DDM)とn-octyl-β-D-glucosideのみであり、分子量・臨界ミセル濃度等を考慮して以降の実験ではDDMを用いることとした。可溶化後はニッケルアフィニティークロマトグラフィーならびにゲル濾過クロマトグラフィーによりNukHを精製できた。次に、リン脂質二重膜内でのHis_6-NukHの活性を評価するため、精製His_6-NukHと大腸菌脂質抽出物を用いてプロテオリポソームを作製し、リポソーム共沈法によるnukacin ISK-1との相互作用解析を行った。その結果、His_6-NukHの量に依存してリボソームへのnukacin ISK-1の吸着量が増加することが確認された。また、His_6-NukHの2次構造をCDスペクトルにより解析したところ、DDMミセル中においてα-ヘリックス構造を形成していることが確認され、His_6-NukHが高次構造を維持していることが示唆された。NMRによる構造解析を行うにあたっては、化学合成培地であるM9培地を用いた培養による安定同位体ラベル化が必要である。しかし、最小培地であるM9培地による培養では2xYT培地に比べ菌体量ならびに発現量ともに著しく低下したため、新たにC.H.L.培地と呼ばれる藻類加水分解物を含んだ安定同位体ラベル化用培地を用いてHis_6-NukHの精製を行った。その結果2xYT培地と同等の生育を示し、最終的に約3mg/ml(200μM)のHis_6-NukHの精製に成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書の作成段階で、予想される問題点を明確にしていたことと、数値目標を定め多方面からの検討を柔軟に行ったことが順調に進展する結果となった。また、研究代表者と分担者が互いの専門領域で柔軟に対処したことも大きな要因と言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
NukHの構造解析については、2次元NMR(1^H,^<15>N)や3次元NMRによる解析を行う必要がある。また、滴定実験によるnukacin ISK-1とNhkHの相互作用メカニズムの解明も行いたい。さらに、、(1)SPRを用いたNukA、NukMの相互作用解析、(2)X線結晶構造解析によるNukMの立体構造の解明およびNukMの改変、(3)細胞膜構成成分の精製とnukacin ISK-1作用機構の解明、も今後の研究の推進方策として挙げられる。
|
Research Products
(9 results)