2012 Fiscal Year Annual Research Report
オキシトシン・オキシトシン受容体系が担う新たな生理機能の探求
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23380055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西森 克彦 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10164609)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | オキシトシン / 社会行動 / 母性行動 / 扁桃体内側核 / 外側中隔 / 体温制御 |
Research Abstract |
計画1に記載の、ePet1-Cre TGマウス導入と、flox型OXTR KOマウスとの掛け合わせは順調に行われ、これにより5-HTニューロンでのみOXTR遺伝子欠損し、OXTに対する反応性を失ったマウスが作製された。その社会的記憶行動に関して解析を行ったが、同観察実験は、縫線核5-HTニューロンに発現するOXTRは社会行動に関与する可能性の薄いことを示した。一方、縫線核5-HTニューロンに発現するOXTRが果たす母性行動に於ける役割は引き続き解析する。さらに、オキシトシン受容体に依る体温制御、不安軽減作用について、縫線核5-HTニューロンに発現するOXTRの役割についての解析を薦める。 数ある可能性の一つとして、研究費申請時には詳細を記述しなかったが、”扁桃体内側核に発現するOXTRがマウスの社会行動(社会的記憶)において果たす役割”については、解析が著しく進み、本領域に発現するOXTRが社会的記憶に極めて重要な役割を果たすことを見出した。 更に、脳内各所に於いて発現するOXTRの役割の解析、これを発現するニューロンが形成するOXTR発現性のニューロンとその回路解析等に極めて強力な威力を発揮する、OXTR-IRES-Cre Knockinマウスと、ベクターのAAV-Oxtr-IRES-Venus、Cre依存的逆位活性型アデノ随伴ヴィルスベクター等の開発に成功した。 計画2の、舌味蕾I型グリア様細胞で発現するOXTRの生理的機能解明について、舌味蕾特異的Oxtr KOマウスがOXT添加餌、非添加餌に対し示す社会行動の差異について、明確な差異は見いだせていないものの、引き続き検討する価値がある。OXTR発現性味蕾細胞の電気生理学的解析は、OXTRの非味蕾細胞での弱いOXTR発現を考慮して味蕾細胞を選択できるための、改善策を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
導入したePet1-Creマウスとflox型OXTR KOマウス(Oxtr(fx/fx)マウス)を交配し、5-HTニューロン特異的Oxtr KOマウスを作製した。その社会記憶行動を測定したが大きな障害は見られず、Oxt→5-HT回路はマウスの社会記憶に重要な役割を果たしていない可能性が示唆された。同マウスの母性行動異常の有無については解析を続行している。 初期研究計画にはなかったが、新たにAAV-Oxtr-IRES-Venusベクターを開発、Oxtr KOマウスの社会行動関連の代表的領域の扁桃体内側核に注入、同領域特異的Oxtr欠損を誘導したところ、有意な社会記憶の回復が観察された。Oxtr-Venusマウスを用い、この領域のOXTR発現性ニューロン種を特定したとろ、多くのGABAergic ニューロンでのOXTR発現が確認できた。Oxtr(fx/fx)マウスの扁桃体内側核にAAV-Creベクターを感染させたところ、有意な社会記憶の低下が観察され、扁桃体内側核に発現するOXTRは、社会記憶に決定的な働きを担うことを見出した(投稿準備中)。更にCreの発現に依存して、ベクター内の導入遺伝子の向きが逆転することで、リークのない、発現のOFF→ONが可能な、逆位活性化型AAVベクターの開発に成功した。 舌味蕾特異的Oxtr KOマウスがOXT添加餌、非添加餌に対し示す社会行動の差異についてOXTRのKOマウスとWTマウスに、Oxt(-/-)の仔マウスと野生型仔マウスをそれぞれ与えた場合の母性行動について、明確な差異は見いだせていないが、今後実験数を増やして検討する価値がある。共同研究として行っているOXTR発現性味蕾細胞の電気生理学的解析は、味蕾内味細胞の外周に沿ってOXTRが弱く発現しており、味細胞からの応答記録が難しい等の点から、改善策を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
ePet1-Creマウスが導入され、flox型OXTR KOマウス(Oxtr(fx/fx)マウス)と交配し、縫線核のセロトニンニューロン特異的Oxtr欠損マウスを作製した。このマウスの社会記憶行動を測定したが、野生型と比べ大きな障害は見られず、マウスの社会記憶に於いては、Oxt→セロトニン回路は重要な役割は果たしていない可能性が示唆された。一方、縫線核のセロトニンニューロン特異的Oxtr欠損マウスにおける母性行動については、現在解析中である。 一方、初期研究計画にはなかったが、新たにAAV-Oxtr-IRES-Venusベクターを開発、Oxtr KOマウスの社会行動関連の代表的領域として、扁桃体内側核に注入し、扁桃体内側核特異的Oxtr欠損を誘導したところ、有意な社会記憶の上昇が観察された。Oxtr-Venusマウスを用い、この領域のOXTR発現性ニューロン種を特定したとろ、多くのGABAergic ニューロンでのOXTR発現が確認できた。更にOxtr(fx/fx)マウスの扁桃体内側核にAAV-Creベクターを感染させたところ、有意な社会記憶の低下が観察され、扁桃体内側核に発現するOXTRは、社会記憶に決定的な働きを担うことを見出した(投稿準備中)。 舌味蕾特異的Oxtr KOマウスがOXT添加餌と非添加餌に対し示す社会行動については、OXTRのKOマウスとWTマウスに、Oxt(-/-)ペアから得たOXTを持たない仔マウス(Oxt-/-)と野生型の仔マウスを与えた場合の母性行動について、明確な差異は未だ見いだせていない。共同研究として行っているOXTR発現性の味蕾細胞の電気生理学的解析は、味蕾内の味細胞の外周にそってOXTRが弱く発現している傾向があり、味細胞からの応答記録が難しい、標的になりにくい、等の点より、その改善策を検討している。
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Research Products
(26 results)
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[Journal Article] Functional, anatomical, and neurochemical differentiation of medial preoptic area subregions in relation to maternal behavior in the mouse.2013
Author(s)
Tsuneoka,Y., Maruyama,T., Yoshida,S, Nishimori,K., Kato,T, Numan,M., Kuroda O.,K.
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Journal Title
J Comp Neurol
Volume: 521
Pages: 1633-1663
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] ”Mice heterozygous for the oxytocin receptor gene (Oxtr(+/-) ) show impaired social behaviour but not increased aggression or cognitive inflexibility: evidence of a selective haploinsufficiency gene effect.2013
Author(s)
Sala,M., Braida,D., Donzelli,A., Martucci,R., Busnelli,M., Bulgheroni,E., Rubino,T., Parolaro,D., Nishimori,K. and Chini,B.
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Journal Title
Journal of Neuroendocrinology
Volume: 25
Pages: 107-118
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Immunological characteristics and response to lipopolysaccharide of mouse lines selectively bred with natural and acquired immunities2012
Author(s)
Narahara,H., Sakai,E., Katayama,M., Ohtomo,Y., Yamamoto,K., Takemoto,M., Aso,H., Ohwada,S., Mohri,Y., Nishimori,K., Isogai,E., Yamaguchi,T., Fukuda,T.
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Journal Title
Anim Sci J
Volume: 83
Pages: 367-374
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Bone marrow oxytocin mediates the anabolic action of estrogen on the skeleton.2012
Author(s)
Colaianni G, Sun L, Benedetto A Di, Tamma R, Zhu LL, Cao J, Grano M, Yuen T, Colucci S, Cuscito C, Mancini M, Li J, Nishimori K, Bab I, Lee HJ, Iqbal J, Young WS, Rosen C, Zallone A, and Zaidi M
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Journal Title
J Biol Chem
Volume: 287
Pages: 29159-29167
DOI
Peer Reviewed
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