2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河内 孝之 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (40202056)
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Keywords | フィトクロム / NAC転写因子 / 低温応答 / 光センシング / シロイヌナズナ / 環境応答 |
Research Abstract |
植物にとって光は重要な環境因子であり、光を感度良く正確に識別する光受容体システムを発達させてきた。一方で、温度は光と密接に関連しながらも独自に変動する。光環境と温度環境を植物が感知し、統合して応答する仕組みの解明を目指した。光受容体フィトクロムは、相互作用因子を介して核内で転写因子の転写制御活性を調節する作用モデルが提唱されている。従来の研究は芽生えを中心に解析されてきた。我々は成長後期に作用する因子としてVOZを同定した。今年度は、この因子の環境における挙動を詳細に調べた。この分子と蛍光タンパク質との融合タンパク質の挙動から、蓄積するタンパク質の大部分が細胞質に存在すること、細胞の種類によって核局在が観察される場合もあることがわかり、転写因子としての単純な振る舞いとは異なるという結果を得た。細胞内局在の機能的な評価をするため、突然変異体が示す遅咲きの表現型の相補を指標に、核局在シグナルおよび核搬出シグナルを付与した遺伝子を突然変異体に導入して機能解析した。その結果、核の局在が変異体の相補、すなわち、分子機能には必須であった。これは、核内で積極的なタンパク質分解の機構があること、または、核外への搬出機構がありことを示唆した。そこで、次にプロテアソーム依存的タンパク質分解の阻害剤を与えて、ウエスタンブロットによってタンパク質の挙動を観察した。その結果、タンパク質分解によってタンパク質の蓄積が制御されていることがわかった。一方、低温順化能の有無、中温度域での低温誘導遺伝子発現、凍結耐性を指標に低温条件でのVOZタンパク質の機能を解析した。これらの解析は、安定した温度環境の設定が結果の再現性に重要であるため比較的時間がかかる。そこで、低温および凍結による電解質漏出の評価系を導入したところ、低温耐性と電解質漏出の減少の相関が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光応答に関して細胞内局在の解析が順調に進展した。低温表現型の観察で低温枯死を指標にした実験では実験条件の設定に手間取っているが、溶液中の凍結処理を用いた電解質漏出測定法によって当初の目的は達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
タンパク質の安定性に関与するアミノ酸残基の特定をすすめることによって研究をさらに深く展開する計画である。低温耐性についても、生育条件と低温耐性の関連に注目して展開する予定である。
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Research Products
(4 results)