2013 Fiscal Year Annual Research Report
セレン含有タンパク質生合成に関わるセレン特異的化学変換機構の解明
Project/Area Number |
23380060
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
三原 久明 立命館大学, 生命科学部, 准教授 (30324693)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 蛋白質 / 酵素 / セレン / 必須微量元素 / セレン蛋白質 |
Research Abstract |
必須微量元素であるセレンは、同族の硫黄、酸素と生体内で厳密に区別され、特定のタンパク質(セレンタンパク質と総称)の特定の位置にセレノシステイン残基の形で機能発現に必須の要素として取り込まれ、種々の重要な生理的役割を果たしている。セレンの量を遥かに上回る硫黄豊富な生体内環境下で、様々な因子が構造と機能に基づいた緻密な選択的反応を遂行することにより、セレンが特異的に転移・代謝され、セレンタンパク質の生合成を恙なく進行させていると考えられる。本研究では、セレンの活性化と転移を触媒する酵素の解析を行うとともに、セレン転移に関与する因子の探索を行うことを目的とした。特に、本年度は、亜セレン酸に由来するセレンがどのような代謝を受けるかについて、主に亜セレン酸の還元経路について解析を行った。Bacillus sp. NTP-1 株に着目して亜セレン酸に対する還元の特性を調べ、トランスポゾン挿入変異により亜セレン酸還元に関与する遺伝子を同定した。その結果、好気条件下において、亜セレン酸還元能が 80% 消失した変異株 TN1 と、 100% 消失した TN2 が得られた。TN1 株は manganese catalase をコードすると予想される遺伝子 (katM) の上流に挿入されている事が分かった。一方、TN2 株ではペプチドグリカン生合成に関わる遺伝子 (ybbP) の上流と、シトクローム c オキシドリダクターゼの活性に関わる遺伝子 (yozB) の 2 箇所に挿入されていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
katM、ybbP、yozBといった従来亜セレン酸の還元とは何ら関わりの示されていなかった遺伝子が亜セレン酸の還元経路に関わることを示唆する結果を得た。本成果は、不明な点の多い亜セレン酸還元経路に対する突破口となる可能性があることから、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画に沿った形で、セレニドの供給経路に関する研究を進めるのに加え、今年度の研究によって同定されたkatM、ybbP、yozB遺伝子がどのように亜セレン酸還元に関わるのか、その作用メカニズムを解明する研究を進める。
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