2011 Fiscal Year Annual Research Report
臨床分離脳腫瘍由来のがん幹細胞に特異的に作用する化合物の探索研究
Project/Area Number |
23380067
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
新家 一男 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディシナル情報研究センター, 主任研究員 (20251481)
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Keywords | 膠芽腫グリオブラストーマ / スクリーニング / がん幹細胞 / sphere形成 |
Research Abstract |
がん幹細胞は、癌化学療法の重要なターゲットであるのも拘わらず、実際のスクリーニングに用いるのは困難であった。このような中、最も悪性度の高いがんのひとつである、膠芽腫グリオブラストーマ(GBM)は細胞塊(sphere)を形成しながら増殖する、安定ながん幹細胞であることが見出された。 平成23年度は、GBMを用いたsphere形成を指標とした、スループットの高いアッセイ系を確立し、パイロットスクリーニングを実施し、がん幹細胞に有効な化合物の候補物質を見出すことを目的に研究を行った。 スループットの高いアッセイ系とするため、384-wellベースのアッセイ系の確立を行った。細胞の生存率はWST-8を用い、細胞塊形態は検鏡により確認を行った。WST-8の値(細胞生存率)、顕微鏡下での細胞観察(形態変化)を指標にした。形態変化とは、顕微鏡下で観察した際に、細胞が死滅し、小さくバラバラになっているもの(統計処理上100とした)、細胞がバラバラになっているが、死滅している様子ではないように見えたもの(200)である。これらの結果より、下記の活性に分類した。 (1)WST-8(低い値)、形態変化(100 or 200:細胞毒性 (2)WST-8(高い値)、形態変化(200):sphere形成阻害 (3)WST-8(低い値)、形態変化(0):sphere形成状態で増殖停あるいは細胞毒性 本アッセイ系を用いて、約2万化合物についてスクリーニングした結果、22化合物が正常細胞f16wの生存率を下げずに、GBM細胞の生存率を下げ、このうち、5化合物は、sphere状態を維持しながら、生存率を下げることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
がん幹細胞を用いたスクリーニングは、抗腫瘍物質開発において、長らく切望されてきたスクリーニング系であるが、がん幹細胞としての性質維持が難しく、また大規模スクリーニングに耐えうる、安定なsphere形成を指標としたアッセイ系の構築がほぼ不可能であった。本スクリーニングでは、384-wellプレートを用いた比較的スループットの高いアッセイ系の構築に成功しており、パイロットスクリーニングにて活性物質候補を見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、proneuralなグリオブラストーマを用いてスクリーニングを実施したが、スクリーニングの課程で自然分化する細胞が出現してくる場合が見られた。平成24年度はスクリーニングを継続すると共に、より悪性度が高く幹細胞としての性質が強い、mesenchymal由来のグリオブラストーマを追加してスクリーニングを実施する。
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