2011 Fiscal Year Annual Research Report
体脂肪蓄積を制御するシンバイオティクス開発の基盤解析
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23380069
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
園山 慶 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (90241364)
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Keywords | 肥満 / 炎症 / 腸上皮細胞 / 脂肪細胞 / Lactobacillus plantarum |
Research Abstract |
我々が見いだした乳酸菌株Lactobacillus plantarum No.14による食餌誘導性肥満マウスの肥満抑制作用(白色脂肪細胞のサイズ増加抑制)について、メカニズムを以下のように解析した。 I.腸粘膜の自然免疫細胞に由来し、白色脂肪細胞の脂肪蓄積を制御するシグナルの探索 マウス小腸パイエル板細胞とマウス脂肪細胞株3T3-L1との共培養系、およびヒト腸上皮細胞株Caco-2とヒト初代培養内臓脂肪細胞との共培養系を構築し、後者の培養系においてNo.14株の添加が脂肪細胞のトリグリセリド蓄積を抑制することを見いだした。すなわち、この共培養系を用いて腸上皮細胞に由来し、白色脂肪細胞の脂肪蓄積を制御するシグナルを探索・同定することが可能となった。 II.No.14株が白色脂肪組織の炎症におよぼす影響の解析 2型糖尿病マウス(KK/Ta)において、No.14株の経口投与が肥満(白色脂肪重量の増加)およびインスリン抵抗性(HOMA-IR値)の進展を抑制すること、ならびに白色脂肪組織における炎症性サイトカイン(IL-6、MCP-1、TNF-α)のmRNAレベルを低下させることを見いだした。また、マウス脂肪細胞株3T3-L1とマウスマクロファージ細胞株RAW264.7との共培養による白色脂肪組織の炎症モデルを構築し、これにNo.14株の菌体外分泌物を添加したとき、炎症性サイトカインの産生が減少することを見いだした。これらのことは、No.14株の菌体外分泌物が生体内に取り込まれ、肥満にともなう白色脂肪組織の炎症抑制を介してインスリン抵抗性の進展を抑制することを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定した「腸粘膜の自然免疫細胞に由来し、白色脂肪細胞の脂肪蓄積を制御するシグナルの探索」および「No.14株が白色脂肪組織の炎症におよぼす影響の解析」に関しては、9.研究実績の概要に記したとおりにおおむね順調に進展しているが、「No.14株が白色脂肪組織におけるUCP1の異所性発現を誘導する機構の解析」および「No.14株が白色脂肪細胞における脂肪蓄積を抑制する機構の解析」については、in vivo(動物実験)の解析においてUCP1の異所性発現に関する再現性の確認に時間を要し、十分な結果が得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
「In vivo(動物実験)におけるNo.14株投与によるUCP1の異所性発現」について引き統き検討していくのに加え、「腸粘膜の自然免疫細胞に由来し、白色脂肪細胞の脂肪蓄積を制御するシグナルの探索」については、高価なヒト初代培養脂肪細胞に替えて新たに導入したヒト脂肪細胞株(LiSa-2およびSGBS)を用いて共培養系を構築することにより探索の効率化を図るとともに、マウスに関しては小腸から分離した上皮組織よりオルガノイドをin vitroで誘導し、このものとマウス脂肪細胞株3T3-L1との共培養系構築および解析を行う。
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Research Products
(1 results)