2012 Fiscal Year Annual Research Report
腸管特有の免疫担当細胞の微生物認識・応答機構の解明と免疫機能食品への応用
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23380073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八村 敏志 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40238019)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 二郎 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40217930)
高橋 宜聖 国立感染症研究所, 免疫部, 室長 (60311403)
細野 朗 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70328706)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 腸管免疫系 / 腸内共生菌 / 機能性食品 / IgA抗体 / TLR / 制御性T細胞 / 感染防御 |
Research Abstract |
近年、食品成分が免疫系に作用することが示され、これらを利用した新規機能性食品の開発が期待されている。腸管には最大級の免疫系が存在し、食品成分の作用を受けるのはこの腸管免疫系である。本研究では腸管特有の免疫担当細胞の微生物成分、腸内共生細菌、病原微生物に対する応答性について明らかにし、これをもとに腸管免疫担当細胞を活性化できる食品素材を探索することを目的とする。本年度は、以下の成果を得た。 1.腸管樹状細胞の解析 腸管パイエル板の樹状細胞において、腸内共生菌による刺激を想定し、複数のTLRリガンド刺激に対する応答を解析した。7種類のTLRのモデルリガンドで同時に刺激した場合と、そのうち1種類を除いた刺激を受けた場合を比較し、その結果、TLR5を刺激するフラジェリンが、他のリガンドに対する応答を抑制することが明らかになった。 2.CD3-IL-2R+細胞の解析: ウイルス感染部位において、IgA産生細胞の多くが、IL-2R+細胞の近傍領域に存在していることを見いだした。 3.経口免疫寛容において誘導される制御性低応答化T細胞の解析: 食物アレルギーモデルマウスにおいて、Foxp3発現制御性T細胞の誘導がIL-4により抑制されていることを抗体による阻害実験により確認した。 4.ノトバイオートマウスを用いた腸内共生菌による腸管免疫応答制御の解析: 腸内共生菌の優勢菌であるBacteroidesを無菌マウスに定着させたノトバイオートマウスにおいて,腸管粘膜でのIgA抗体産生が誘導される機構の一つとして,大腸部位の腸管関連リンパ組織(盲腸リンパ節・結腸リンパ節)において杯中心の形成がBacteroidesの定着によって認められることで,活性化B細胞のリンパ組織への集積が起こることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹状細胞、CD3-IL-2R+細胞、いずれについても、新たな成果が出ており、ノトバイオートマウスの解析も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ノトバイオートマウスの解析、菌体成分の経口投与等により、生体内での作用メカニズムの解明を進める。また腸内共生菌と食品の協調作用に着目して、腸管の免疫担当細胞に作用する食品素材を探索する。
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Research Products
(10 results)