2012 Fiscal Year Annual Research Report
菌類との相互作用に基づく種多様性維持メカニズムの解明と生態系機能に関する研究
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23380079
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清和 研二 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40261474)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 誠二 独立行政法人国立環境研究所, 水土壌圏環境研究領域室長, 室長 (10300849)
深澤 遊 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30594808)
齋藤 雅典 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40355079)
梅木 清 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (50376365)
陶山 佳久 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (60282315)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 種多様性 / ジャンゼン・コンネル仮説 / 菌根菌 / 生態系機能 / 水源涵養機能 / CO2固定能 / 人工林施業 / 強度間伐 |
Research Abstract |
1. 種多様性維持メカニズムの解明:ジャンゼン・コンネル仮説の検証を暗い林内だけでなくギャップなど明るい場所でも行なった。暗い林内ではこれまでと同様に同種実生の距離依存的死亡が見られたが、明るいギャップでは同種実生の成長・生存を菌根菌(外生菌根菌・アーバスキュラー菌根菌など)が菌糸ネットワーク通じて大きく促進している事が明らかになった。したがって、ギャップが出来た場合、そして病原菌の影響が小さい場合はジャンゼン・コンネル仮説に反して、同種の実生の定着を促し,種多様性を減少させることが予測された。 2.生態系機能の解明: 9年前に設定したスギ人工林の間伐強度別試験地は、現在、広葉樹の混交程度の異なる林分になっている。この林分を用いて、種多様性の回復の程度が生態系機能(土壌栄養塩のリサイクル、水源涵養機能など)に及ぼす影響について解析した。スギ人工林内に侵入した広葉樹の種多様性(種数)が増加するほど生態系機能が向上する事が明らかになった。種多様性の増加とともに土壌栄養塩が植物に有効に使われ、根係層ならびに下層土に残留する無機態窒素が少なくなることを明らかにした。また、地上部の物質生産性も種が多様なほど最大になった。 3.木材の形質とCO2固定能: 強度間伐区ではスギの枝が下から出るので形質が悪くなり、さらには林分材積成長量も減少した。一方無間伐区では枝下高も高く林分材積成長量も最大であった。 種多様性の回復や生態系機能の向上には強度間伐が最適であるが木材生産効率も考慮した最適な人工林施業を考える必要が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ジャンゼン・コンネル仮説の検証を暗い林内だけでなくギャップなど明るい場所でも行なったところ、明るいギャップでは菌根菌(外生菌根菌・アーバスキュラー菌根菌など)の働きが病原菌よりも強い事が明らかになった。これは種多様性維持メカニズムの解明にとって極めて重要な知見である。 我々の設定したスギ人工林の間伐強度別試験地は、現在、広葉樹の混交程度の異なる林分になっている。このような混交程度の発達した林分は世界的にも珍しい。この林分を用いて、種多様性の回復の程度が生態系機能(土壌栄養塩のリサイクル、水源涵養機能など)に及ぼす影響について解析したが、その結果は本年度の生態学会の企画集会でまとめて発表した。世界的にも到達度の高い研究である。
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Strategy for Future Research Activity |
病原菌の種特異性は既に明らかにしたが、明るいギャップでの菌根菌(外生菌根菌・アーバスキュラー菌根菌など)の種特異性は明らかになっていない。今年度はDNAによる種同定、接種試験による菌根菌の種特異性について明らかにする。 土壌栄養塩サイクルに及ぼす窒素無機化を促す古細菌相を明らかにする。種多様性が高いほど土壌有機物の分解が盛んで、土壌中の無機栄養塩も少ない事が明らかになった。これは土壌表層の細菌相が大きく変化している事を伺わせる。これを解析する。
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Research Products
(15 results)
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[Journal Article] Landslide-facilitated species diversity in a beech-dominant forest.2013
Author(s)
Seiwa, K., Miwa, Y., Akasaka S, Kanno H, Tomita M, Saitoh T, Ueno N, Kimura M, Hasegawa Y,Yamazaki M, Masaka,K.
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Journal Title
Ecological Research
Volume: 28
Pages: 29-41
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Roles of thinning intensity in hardwood recruitment and diversity in a conifer, Criptomeria japonica plantation: A five-year demographic study2012
Author(s)
Seiwa, K., Yukino Etoh, Masahiro Hisita, Kazuhiko Masaka, Aya Imaji, Naoto Ueno1, Yoichi Hasegawa, Miki Konno, Hiroshi Kanno, Megumi Kimura
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Journal Title
Forest Ecology and Management.
Volume: 269
Pages: 177-187
DOI
Peer Reviewed
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