2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23380081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 友子 東京大学, 農学生命科学研究科, 講師 (80376566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 太郎 国土技術政策総合研究所, 危機管理技術研究センター, 主任研究官 (60370780)
五味 高志 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30378921)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 山地河道 / 階段状河床 / マニングの粗度係数 / 表面流速 / 水深 / キネクトセンサー / 河床構造 |
Research Abstract |
気候変動等により、日本列島では大規模な降雨の増加による洪水の規模や頻度の増加が懸念されている。国土の60%以上を急峻な山地、森林が占める日本では、土石流や鉄砲水などの山地域の急激な水・土砂の流出メカニズムや、急激な水・土砂流出が河川生態系に及ぼす影響などを理解し予測する必要がある。山地河道の水理特性は山地域の急激な水・土砂の流出をコントロールするにもかかわらず、実態のデータが少なく、水・土砂の流出予測が難しい現状がある。そこで、本研究では山地河道の洪水時の水理特性の時間変化と、河道の形状、河床材料と水理特性の関係について明らかにする。次の3つを行うことを目的としている。 A) 多様な山地河道での洪水時の流量、水深、流速データの取得 B) 洪水時の山地河道の水理特性と河道形状の関係の解明 C) 山地域の新たな水・土砂の流出予測手法の提案 本年度は上記A)B)について研究を行った。昨年に引き続き東大樹芸研究所青野研究林で河床構造ごとに(ステップとプール)観測を行い、複数の大きな降雨時のデータを得た。データ解析の結果、ステップとプールでは降雨時にも異なる水理特性が観察された。また、平水時には流れの抵抗を支配しているのは局所的な礫の大きさなどであると考えられるが、増水時にはステップ・プール構造などより広い範囲の河床地形などが流れの抵抗を支配するようになることが示唆された。また、河床構造の把握が重要であることが明らかとなってきたため、三次元で河道、河床形状を計測する手法として、Kinectセンサーを用いた河床構造の把握を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的 A)の 多様な山地河道での洪水時の流量、水深、流速データの取得、については,観測もようやく軌道にのり、ある程度大きな降雨時のデータも得られつつある。今後は引き続き大きな降雨時のデータを確実に得られるように注意して観測を継続する必要がある。H23年度の調査では山地河道では流量の観測が難しいことが明らかとなってきたが、今年度はH25年度からの流量観測に向けた準備を進めることができた。 また、B)の 洪水時の山地河道の水理特性と河道形状の関係の解明、のためには多様な山地で観測を行う必要がある。今年度後半に新たに秩父山地の東大秩父演習林内のさらに急峻で礫の径も大きい階段状あるいは小滝状河道に分類される河道で観測設備を設置した。これによりH25年度の雨期にデータを取得できる予定である。同時に、これまでに日本各地で観測されてきたデータを収集を進め、貴重なデータを収集することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
観測を継続するとともに、これまでに本観測で得られた結果をとりまとめる。さらに、収集した各地の観測データを整理して、C) 山地域の新たな水・土砂の流出予測手法の提案に向けて解析を進める。 また、これまでの研究から、詳細な河床構造の把握が重要であることがわかってきた。川幅1m以下の小さな河道ではキネクトセンサーが有効であることがわかってきたが、より大きな河道に適応可能な手法を開発する必要がある。そこで、最新のグリーンレーザを用いた3次元測量により水面下も含めた河床構造の3次元的な把握を手法の開発を行う。これまでのレーザー測量手法では水面下のデータを取得できず、河床の礫の状態を把握することは困難であったが、グリーンレーザを用いることによって、ある程度水面下の情報も得られることが期待できる。グリーンレーザの開発・実用化が遅れたためH24の予算の一部をH25に繰り越し、グリーンレーザによる水面下含む河床構造の把握を行なった。
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Research Products
(6 results)