2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒグマ個体群のアトラクティブ・シンク現象解明とモニタリングおよび被害管理への応用
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23380089
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 喜和 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (60366622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬場 まゆら(高田まゆら) 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (10466807)
園原 和夏 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (40453906)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ヒグマ / アトラクティブ・シンク / 個体群 / 空間的異質性 / 移動・分散 / 死亡リスク / GIS / DNA個体識別 |
Research Abstract |
先行研究により,北海道阿寒白糠南部地域のヒグマ個体群は,分布中心部から周縁部への高い分散率,および周縁部で高い駆除率があることから,その分布周縁部は,生息地の質が高くかつ死亡リスクも高いattractive sinkとなっている可能性が示唆された。そこでこの仮説を検証し個体群の保全と被害管理に応用するため,1) 個体群およびその生息環境の空間的異質性の解明とその被害発生パタンとの関係を明らかにすること,2)適切な個体群管理のために生息密度や繁殖指標の空間的勾配とその動向を広域的にモニタリングする方法を開発することを目標に研究を行った。1)については,学術捕獲個体のGPS追跡,および痕跡(体毛)や捕獲個体試料のDNA個体識別による個体の移動・分散の方向性に関する解析を進めている。平成24年度は2頭を学術捕獲しGPS追跡中である。DNA個体識別した31頭のヒグマの移動分散方向と駆除による死亡との関係についても解析中である。有害駆除された個体の内臓脂肪量を指標として,クマの栄養状態の空間分布パタンを検討した。シカの駆除・狩猟残滓の分布が影響している可能性が示唆された。2)については,背擦りトラップによる体毛試料回収を広域的に展開し,これまでに49箇所にトラップを設置した。体毛は順調に回収されている。平成25年度に引き続き設置を進め, DNA個体識別に基づく個体群内の相対的な生息密度勾配とその変動を継続的にモニタリングするための簡便な方法の検討と普及のための提案を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学術捕獲に関しては,H24年度も分布周縁部で2頭の捕獲に成功した。分布中心部での捕獲は困難なため,DNA個体識別による移動検出に焦点を移していく。北海道内の駆除個体のデータベースおよび回収試料を利用した解析は順調に進み,学会発表を行った。次年度以降論文化に向けて準備を進める。背擦りトラップの設置は阿寒町足寄町方面はほぼ終了した。体毛も順調に回収され個体群モニタリングの準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,ヒグマの移動・分散実態については,学術捕獲をすすめるとともに,背擦りトラップから回収される体毛のDNA解析に力を入れる。広域的なヒグマの生息環境・死亡リスクの空間的異質性については,これまで実施している解析を進める他,炭素・窒素安定同位体比解析による生息環境の空間的異質性について検討する。広域モニタリング手法に関しては,背擦り木ラップを浦幌町方面に拡大して設置を完了し,モニタリングの試行に移る予定である。
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[Journal Article] Selection of rub trees by brown bears (Ursus arctos) in Hokkaido, Japan2014
Author(s)
Sato Y, Kamiishi C, Tokaji T, Mori M, Koizumi S, Kobayashi K, Itoh T, Sonohara W, Takada MB, Urata T
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Journal Title
Acta Theriologica
Volume: 59
Pages: 129-137
DOI
Peer Reviewed
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