2012 Fiscal Year Annual Research Report
一回開花結実性ササ属の開花メカニズムと花成遺伝子発現様式の解明
Project/Area Number |
23380091
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
北村 系子 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (00343814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 孝行 独立行政法人森林総合研究所, その他部局等, その他 (70353654)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ササ |
Research Abstract |
ササは北方系森林の林床をカバーし、森林における林業においても森林生態系保護の観点からも無視できない存在である。しかしながら、その旺盛な栄養繁殖系と開花枯死に至るまで長期間を要することから、ササの制御に関してはほとんど手が付けられていない。近年、同じような性質を持つタケで開花遺伝子の発現と開花に関する知見が得られるようになり、ササに対しての応用が可能であると予想される。タケの遺伝子配列は一部ササと共通であることから、タケの遺伝子がササで発現しているかどうかを調べた。その結果、タケの開花遺伝子はササの頴花組織で多く発現していることが明らかになった。また、同じ遺伝子が開花中のササの葉組織でも発現していた。しかし、葉での発現量は花に比べて低かった。開花遺伝子は複数コピーあることが推定できたことから、ササ固有の開花遺伝子の配列を読むことによって、より感度の高い分析ができる可能性も明らかになった。とくに、クマイザサの開花遺伝子の塩基配列を解読したところ、1塩基の欠失が複数箇所発見された。チシマザサの開花遺伝子では塩基の欠落は起きているものの、クマイザサほどサイトの数が多くない。このことから、タケの遺伝子とクマイザサの遺伝子は構造的に異なっている可能性があり、クマイザサに関してはタケの遺伝子とは異なるプライマー設計を行う必要が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
タケの遺伝子配列は一部ササと共通であることから、既存のタケの遺伝子を使用してがササで発現しているかどうかを調べた。この開花遺伝子は花組織では多く発現していたが、開花期のササでの葉組織では発現量が低かった。その原因は、タケとササの遺伝子配列に違いがあること、また複数コピーあることが推定できたことから、ササ固有の開花遺伝子の配列を読む必要が生じた。ササの開花遺伝子の単離とシーケンス、および新しいプライマー設計のための作業が加わったことにより、当所の計画よりもやや達成が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
野外調査および追跡調査実験は予定通り行っているため問題はなく、計画通り推進する。室内実験では新しいプライマーを用いた実験に切り替える。新規プライマー設計により分析実験が計画よりも遅れている問題については、実験補助員を指導し遺伝子発現分析技術の向上を達成し、効率的に推進する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 開花の個体性と繁殖様式2012
Author(s)
北村系子
Organizer
第44回種生物学シンポジウム
Place of Presentation
奥琵琶湖マキノパークホテル&セミナーハウス
Year and Date
20121207-20121209
Invited