2012 Fiscal Year Annual Research Report
マツ材線虫病の病原体マツノザイセンチュウを進化させたのはビロウドカミキリか?
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23380092
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
前原 紀敏 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (20343808)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 克典 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, チーム長 (40343785)
相川 拓也 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (90343805)
神崎 菜摘 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70435585)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 昆虫 / 進化 / 線虫 / 生物間相互作用 |
Research Abstract |
研究代表者および分担者は、マツノザイセンチュウ近縁種群の分子系統解析結果より、マツ材線虫病の病原体マツノザイセンチュウは、広葉樹を寄主とする線虫から進化してきたということを明らかにしている。本研究の目的は、「マツノザイセンチュウ近縁種群の広葉樹から針葉樹への進化のかけ橋になったのは、ビロウドカミキリ、もしくはその祖先種である」という仮説を検証し、マツノザイセンチュウの進化の過程を解明することである。 1.野外でビロウドカミキリが媒介するマツノザイセンチュウ近縁種群の探索:今年度は、ビロウドカミキリ成虫からマツノザイセンチュウ近縁種群は検出されなかった。 2.カミキリムシの人工飼育:昨年度のビロウドカミキリに続き、センノカミキリ成虫を人工飼料で飼育して性成熟させることに成功した。 3.ビロウドカミキリとニセマツノザイセンチュウの親和性の解明、および他のヒゲナガカミキリ族との比較:ビロウドカミキリは、マツノマダラカミキリと同程度にニセマツノザイセンチュウと親和性を示した。 4.ビロウドカミキリからの線虫の離脱を調べる実験系の確立:ビロウドカミキリ成虫からクワ葉への線虫の離脱を調べる実験系を考案し、マツノザイセンチュウ近縁種群の一種であるBursaphelenchus douiが、ビロウドカミキリとマツノマダラカミキリの摂食時に虫体からクワ葉やマツ枝に離脱することを確認した。 上記3.と4.および昨年度の結果を併せて考えると、B. doui(の祖先種)がビロウドカミキリ(の祖先種)によって広葉樹から針葉樹へと運ばれてきた後、マツノマダラカミキリ(の祖先種)へと媒介者を乗り換えたのではないかと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたヒゲナガカミキリ族4種(ビロウドカミキリ、センノカミキリ、キボシカミキリ、マツノマダラカミキリ)とマツノザイセンチュウ近縁種群5種(Bursaphelenchus doui、タラノザイセンチュウ、クワノザイセンチュウ、マツノザイセンチュウ、ニセマツノザイセンチュウ)の20通りの組み合わせについて、親和性を調べることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの実験にはマツノザイセンチュウの強病原力アイソレイトを用いてきたが、マツノザイセンチュウには弱病原力アイソレイトも存在し、強病原力アイソレイトとはマツに対する病原力を初めとして性質が異なることが知られている。そのため、ヒゲナガカミキリ族に対する親和性も異なる可能性があり、25年度の実験では弱病原力アイソレイトを用いることとする。
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Research Products
(7 results)