2012 Fiscal Year Annual Research Report
日本の森林土壌における有機物分解性の定量化とその支配要因の解明
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23380096
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
小嵐 淳 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (30421697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 麻里子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究副主幹 (20354855)
石塚 成宏 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, グループ長 (30353577)
平舘 俊太郎 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物多様性研究領域, 主任研究員 (60354099)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 森林土壌 / 土壌有機物分解 / 放射性炭素(14C) / 地球温暖化 / 有機物分画 / 土壌鉱物特性 / 温度依存性 |
Research Abstract |
土壌に有機物として大量に蓄積している炭素が、地球温暖化に伴ってどれだけ大気中へ放出されうるかを正確に予測するためには、土壌有機物の蓄積「量」の把握に加えて、その「質」、すなわち「分解性の多様性」を定量的に把握することが不可欠である。本研究では、土壌有機物分画と放射性炭素(14C)分析、ならびに土壌の培養実験によって、日本の森林土壌における有機物分解性を定量化することを目指している。 土壌有機物の分解速度が温度上昇によってどれだけ加速されるかを明らかにすることは、温暖化による地球炭素循環への影響を正確に予測する上で重要である。特に、数十年から100年程度にわたって土壌に滞留している有機物は、その貯留量が多いにもかかわらず、分解の温度応答はよくわかっていない。 我々は、土壌の培養実験、有機物分画、放射性炭素(C-14)同位体分析、3プールモデルを用いることで、土壌有機物を数日~100年にわたる異なる滞留時間を持つ有機物に分別し、さらにその滞留時間と分解速度の温度応答の関係を定量化した。その結果、土壌中において滞留時間の長い有機物ほど温度上昇による分解速度の増大が大きく、表層15 cmまでで一平方メートル当たり1.4-3.2 kgもの土壌有機炭素が、現在の気候変動モデルにおける仮定よりも敏感に温度に対して応答することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画通り、今年度に土壌有機物分解の温暖化に対する応答の調査に着手できたが、土壌有機物の分解特性の定量化及び有機物分解に影響を及ぼしうる要因の分析を行うサイト数の拡充が十分に行えず、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も土壌有機物の分画、同位体分析、土壌特性分析を継続し、データの蓄積を図る。特に、仮説を支持するより強力なエビデンスとなる調査サイトを探索することに留意する。具体的には、年間平均気温や土壌のAl含有量が極端に高い、もしくは低いサイト等である。
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Research Products
(3 results)