2012 Fiscal Year Annual Research Report
藻場バイオマスモニタリングのための音響計測手法の開発
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23380108
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮下 和士 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (70301877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 康澄 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (40261341)
木村 暢夫 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (50186326)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 藻場 / 音響計測 / GIS |
Research Abstract |
平成24年度は、北海道函館市尾札部沿岸域、青森県下北半島沿岸域、京都府舞鶴沿岸域、において、計量魚群探知機および水中カメラを用いた藻場モニタリング調査を実施し、以下の結果を得た。 北海道函館市尾札部沿岸域では、漁期前 (春季: 2012年7月9日) 及び漁期後 (秋季: 2012年10月22日)に調査を実施した。漁期前コンブ林の厚さの範囲は0.3~2.0m(平均値は0.8m)であり、分布面積は1.12km2であった。一方漁期後コンブ林の高さは0.3~1.34m(平均値は0.5m)の範囲であり、分布面積は0.42km2であった。 青森県下北半島沿岸域(石持地区)では、漁期前 (春季: 2012年6月11、13日) 及び漁期後 (秋季: 11月6、7日)に調査を実施した。漁期前コンブ林の厚さの範囲は0.3~1.97m(平均値は0.66m)であり、分布面積は0.81km2であった。一方漁期後コンブ林の高さは0.3~1.05m(平均値は0.37m)の範囲であり、分布面積は0.37km2であった。 京都府舞鶴沿岸域では京都府舞鶴市小橋地区の沖葛島と磯葛島において、藻場音響調査を実施した(8月7日)。調査海域周辺では水深1~10mまで、クロメ群落とガラモ場が混在していた。水深10m以深ではクロメが優占的となり、クロメ群落は水深30mの沖合域まで広がっていた。調査海域における藻場の厚みは0.2~3.2mの範囲で、Sv値(単位体積あたりの音響反射強度)は混在域では-38~-48dBであったが、クロメ群落においては-50dB以下の弱い値が多く見られた。調査面積0.56km2における推定藻場面積は0.35km2であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って調査を遂行し、複数の調査海域で予定通り藻場の分布密度推定を実施することができた。また、藻場判別アルゴリズムについても判別精度の向上を図ることができた。成果についても国内外で複数の発表を行うことができた。また、その中の一つの国際学会において優秀発表賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は最終年度であり、最終目的を達成するために以下の手順で研究を進める予定である。(1)藻場分布と海洋環境の関係の解明平成24年度に開発した音響反射から藻場を構成する藻体の現存量を推定するためのアルゴリズムを改良し、高精度な藻場分布マップを作成する。また、得られた藻場分布と海洋環境データを活用し、藻場分布密度と海洋環境の関係について考察する。平成25年度は、以下の手順で研究を進める。1)小型計量魚探を用いた音響調査(藤森・宮下):定量的な音響情報を取得できる簡易計量魚探を使用し藻場が形成されるモデル海域において等間隔な定線で音響調査を実施する。また、音響調査で藻場の反応が見られた地点で小型ROVを沈め目視確認により藻場が実際に形成されているかの確認を行う。同時に海洋観測も実施する。(傭船費、調査旅費使用)2)つぼ刈りによる潜水調査(宮下・藤森):定線上のランダムな数点の海底に小型計量魚探のビームの広がりと同程度の方形枠を設置し、枠内の藻体すべてをSCUBA潜水により採取する。持ち帰った藻体は1個体ずつ、目視観察や写真により出来るだけ海水中での状態に近い形になるように平面な板の上に広げ、藻体の全長及び重量を測定する。(調査旅費、潜水補助者雇用費使用)3)音響調査と潜水調査の比較(木村・宮下):音響結果(藻場の全長、音響情報など)と潜水結果(藻体の全長、重量など)を比較し、その関係式を導き出す。4)音響情報から藻場の分布密度を求める(宮下・木村):音響結果と潜水結果を比較した関係式を元に藻場の分布密度を求めるアルゴリズムの高精度化を図る。5)藻場分布密度と海洋環境の関係の考察(宮下):得られた譲歩を統合的に解析し、藻場の分布特性を明らかにする。(2)成果発表1)得られた結果を、国内外の学会・シンポジウム・論文で発表する。(成果発表旅費、翻訳・校閲費使用)
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