2012 Fiscal Year Annual Research Report
主要海産二枚貝の人工種苗生産高度化に向けた生殖機能の神経内分泌制御機構の解明
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23380109
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾定 誠 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30177208)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 直樹 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (30502736)
千葉 洋明 北里大学, 水産学部, 准教授 (50236816)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 二枚貝 / 神経内分泌 / エストロゲンシグナリン / 配偶子形成 / 産卵 |
Research Abstract |
1)主要海産二枚貝のGnRHの配偶子形成への関与とステロイド生合成調節ホタテガイとマガキで11アミノ酸残基からなると推定されたpyGnRHとcgGnRHペプチドは、すでにホタテガイ精巣培養で報告しているmGnRHと同程度もしくは強い精原細胞増殖機能を発揮した。しかし、その機能は鳥類のウズラ下垂体培養に対しては、ニワトリI型のようなLH分泌誘導を起こすことはなかった。一方、ホタテガイ精巣での強い精原細胞増殖効果はエストラジオール-17βでも見られ、pyGnRHの効果がエストロゲン拮抗薬で阻害されたことから、下垂体を経由しない原始的な内分泌調節による生殖細胞発達調節の存在が示唆された。2)ホタテガイのエストロゲン応答配列の同定とERアソフォームの機能連関ヨーロッパイガイのMeER1、MeER2とムラサキイガイのMgER1、MgER2の配列をもとに、設計した縮重プライマーと特異プライマーを用いたPCRクローニングによって、既知の軟体動物ERに分類されるpyERとERR(エストロゲン関連受容体)に分類されるpyERRの2タイプを単離同定した。pyER、pyERRともに精原細胞とその周辺で発現し、pyERRのみが卵母細胞で発現していた。特に、Q-PCRで精巣発達の初期にこれらの高い発現が観察された。3)主要海産二枚貝のOMAFとOMAFノックダウンによる抑制解除と産卵誘発増強OMAFのORF配列をもとにした組換えOMAFに推定されたCu,Zn-SOD様の活性が検出されたが、共存する緩衝液の影響を完全に除いた検証を要する。イタヤガイ科2種に対するOMAFの部分配列認識抗体の前処理による産卵抑制解除処理によって、セロトニンによる産卵誘発効果の強い増強効果が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
推定GnRHペプチドのステロイドホルモン調節を介した生殖機能を軟体動物ではじめて示せた。二枚貝に2種類のERが存在することを証明し、精巣発達との関係を示唆することができた。OMAFのSOD推定領域の機能が明らかになり、OMAFに対する特異抗体によるノックダウンに成功し、高効率な産卵誘発の可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二枚貝類のGnRHの特徴付けのために事例を増やす必要がある。単離したホタテガイのER(pyERとpyERR)のレポーターアッセイによる機能の確認を行う予定である。OMAFに存在するSOD推定領域におけるSODとしての正確な比活性として組換えOMAFを作製し直して再検討する。さらに、OMAFの産卵抑制領域の特定を行い。より確実な産卵制御方法に繋げる。
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