2011 Fiscal Year Annual Research Report
エイ類(トビエイ亜目)胎仔の発生初期に見られる胚休眠の実態と環境への適応戦略
Project/Area Number |
23380112
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山口 敦子 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 教授 (10310658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古満 啓介 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 産学官連携研究員 (30554266)
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Keywords | 板鰓類 / 繁殖 / 温暖化 |
Research Abstract |
本研究は、日本の沿岸域でエイ類が増加傾向にあり、その餌となる二枚貝の著しい減少が深刻化していることを背景に、エイ類増加の一つの根拠をその特異な繁殖戦略に求め、海洋温暖化がエイ類の再生産に与える影響と環境への適応戦略の解明を目指すものである。初年度である今年度は特にトビエイ亜目の種多様性が高い有明海で、一部のエイ類発生初期に起こることが分かった胚休眠を持つ種の抽出とその実態解明を行うこと、および南方系種を定義するために各種の分布範囲を明らかにすることを主な目的とした。 日本の中ではトビエイ亜目の種多様性が高いことがわかった有明海をフィールドに、トビエイ亜目(アカエイ類とトビエイ類)の定期的な採集を行った。採集したエイ類について、通常の生物測定と観察を行った後、子宮、子宮内卵または胎仔の計測を行うとともに、組織の一部または全部を固定した。受精卵については、固定後胚を切り出して再度固定した。アカエイ類では、アカエイ、シロエイなど計4種、トビエイ類ではナルトビエイとトビエイの2種について受精卵または胎仔を採集することが出来た。種ごとに月別データを解析し、受精・排卵・出産時期を解明するためのデータを蓄積した。詳しく研究を行った種のうち少なくとも4種は、胚休眠を持つ可能性があることがわかった。休眠期間や発生時期等については、現在詳しい観察と解析を進めているところである。また、地理的分布および分布範囲を明らかにするため、同様にして八重山周辺海域、東シナ海、タイ国沿岸で漁獲調査、市場でのトビエイ亜目のエイ類採集と測定を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トビエイ亜目エイ類の採集は当初の予定通り定期的に実施することができ、エイ類の受精卵や胎仔もステージ別に採集できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を進める上で最も難しいことは、不確定要素の多いフィールドで生きた状態のまま多くの種類のトビエイ車目エイ類を採集して胚を含むサンプルを収集することに加え、その後の観察に耐えうる良い固定状態のサンプルをフィールドから得ることである。サンプル固定までの技術についてはすでに十分確立、習得しており問題はないが、各種サンプルを季節別の回遊に合わせて場所を変えながら漁獲することについては、台風や時化などの天候の悪化等も含め、失敗を伴うことも予想される。そのため、最も重要な夏季にはフィールドでの調査回数を増やすことで確実なサンプル採集に努めたい。
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Research Products
(5 results)