2011 Fiscal Year Annual Research Report
海産魚への脂肪酸代謝酵素遺伝子群の導入:植物油で魚を作る
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23380123
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
吉崎 悟朗 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (70281003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 穣 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (00432063)
佐藤 秀一 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (80154053)
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Keywords | 脂肪酸代謝 / 遺伝子導入魚 / ダイオキシン / ニベ |
Research Abstract |
まず実際に導入する脂肪酸代謝酵素遺伝子の選定および単離を行った。海産魚の脂肪酸代謝に関する研究により、炭素鎖22から24へ鎖長延長する酵素elongase of very long chain fatty acids 2 (Elovl2)が欠損していることが明らかとなっている。そのため、本研究ではこの遺伝子をヤマメから単離した。続いて、前述のApolipoproteinプロモーターにヤマelovl2遺伝子を結合し、ニベ受精卵への顕微注入を行った。これらを養成して得られた46尾の親魚のうち、18尾が排精し、そのうち1尾の精液からelovl2遺伝子が検出された。この個体と野生型メス個体との人工授精によりelovl2遺伝子を保持するF1個体を得た。F1個体における外来遺伝子の発現解析の結果、目的のelovl2遺伝子が肝臓で高発現していることが明らかとなった。続いて、elovl2遺伝子の働きによって脂肪酸組成に変化があるかを調べた。通常の配合飼料で飼育したelovl2遺伝子導入個体と野生型個体の脂肪酸組成の解析の結果、elovl2遺伝子導入個体はDHA含量が優位に高いことが明らかとなった。 本研究により、ニベの脂肪酸代謝系を遺伝子導入により操作し得ることが示唆された。今後、他の脂肪酸代謝酵素遺伝子を導入した複数系統の交配を行い、最終的には餌飼料中に魚油を要求しない植物油のみで養殖可能な系統の作出が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初の目標である脂肪酸代謝酵素を海産魚へと導入する実験の一部はすでに成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記酵素以外の種々の脂肪酸代謝酵素を海産魚へと導入するとともに、EPA/DHA欠損飼料での飼育実験も進めていく予定である。
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