2012 Fiscal Year Annual Research Report
魚貝類の毒化機構を毒結合タンパク質の機能・進化から解明する
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23380125
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大嶋 雄治 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70176874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島崎 洋平 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40363329)
木下 政人 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (60263125)
橋口 康之 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70436517)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | フグ毒結合タンパク質 / 遺伝子導入 / テトロドトキシン / トリブチルスズ / トランスジェニックメダカ |
Research Abstract |
(1) 毒結合タンパク質遺伝子組換え体(rTBT-bp1, rPSTBP)の作製と発現 トラフグ肝臓cDNAに対しPCRを行い、全長のTBT-bp1,2およびPSTBP1,3遺伝子を得てcDNA配列を導入したバキュロウィルスをカイコに感染させ、rTBT-bp1,2およびrPSTBP1,3をカイコの血液中に大量発現させた。得られたタンパク質を精製し,テトロドトキシンおよびトリブチルスズとの結合性を検討した。. (2) 毒結合タンパク質過剰発現トランスジェニックメダカの作製 Trub.PSTBP1遺伝子断片及びIRES、hrGFP2、pA配列を含むテンプレート遺伝子断片を基に、つなぎPCR法によりPSTBP遺伝子コンストラクトを作製した。本コンストラクトとベクター(pDs-actb4k-Gal4FF)をSalIとNotIで消化・ライゲーションし、DNA plasmid vectorを作製した(pDNA)。1細胞期メダカ胚にpDNAをインジェクションした。投与後、胚発生および成長を経時的に観察するとともにGFP発現の確認を行った。現在F2世代が得られた. またTrub.PSTBP3についても同様に作製し、コンストラクトを作製した。 (3) 毒化する魚貝類における毒結合タンパク質遺伝子の解読 10種のフグ科魚類(トラフグ、クサフグ、ヒガンフグ、ショウサイフグ、コモンフグ、ヨリトフグ、オキナワフグ、シロサバフグ、クロサバフグ、ミドリフグ)とツムギハゼの肝臓組織から抽出したmRNAを鋳型としてcDNAを合成し、 PCRによりTBT-bpsおよびPSTBP遺伝子を増幅後、クローニングして塩基配列を決定した。それらのPSTBPと、ゲノムデータベースから特定した複数の魚種の塩基配列を用いて分子系統樹を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、計画を概ね達成している。(1) 毒結合タンパク質遺伝子組換え体の大量精製毒結合タンパク質組換え体の精製は終了し、結合試験を実施中である。(2) 毒結合タンパク質過剰発現トランスジェニックメダカにおける同タンパク質の体内分布および動態発現解析型人工遺伝子:(medaka beta-actin promoter)-(medaka PSTBP1,3)(GFP)の人工遺伝子をメダカ受精卵にマイクロインジェクション法により導入し、PSTBPs発現メダカ系統を作出中である。(3) トランスジェニックメダカの、胚、稚魚期、成熟期に蛍光実体顕微鏡で肝臓、血管、生殖腺、体表等の画像観察している。しかし定量化は現在上手く行っていない。(4)毒化する魚貝類における毒結合タンパク質遺伝子の解析はほぼ完了した。(5) フグ目魚類他10種生物におけるTBT-bps 遺伝子およびPSTBPs のクローニングをほぼ完了した。ただしPSTBP遺伝子はトラフグ属魚類以外は存在していなかった(PCRで検出されず)。現在分子系統樹を作製し論文化を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は予定していた以下の実験を行う (1) 得られた毒結合蛋白質組換え体(rPSTBPs, rTBT-bp1,2)に対し、リポカリンの結合蛍光プローブをリガンドとして組換え体との結合試験を行う。またTTXとの競合結合試験を行い、TTXの結合性を確認する。 (2) 毒結合タンパク質(PSTBP1,3)過剰発現トランスジェニックメダカを用いた解毒機能の証明を行う。 (3) 毒結合タンパク質の体内分布および動態、輸送・排泄機能をトランスジェニックメダカを用いて発現タンパク質の体内分布と排泄を調べる。 (4) 毒化する魚貝類(トラフグ属魚類、ハコフグ、ツムギハゼ、ムラサキヒヨク等)における毒結合タンパク質遺伝子の分子進化学的解析を続け、論文にまとめる
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Research Products
(2 results)